「円」「武士とは何か」
積読消化中。いかんせん数が半端ないのでボチボチと。
「円」劉慈欣(訳:大森望、泊功、斎藤正高)
あの「三体」の作者の短篇集。帯に新海誠さんの
「『三体』以上に衝撃だったのは短篇集の『円』なんです」
という推薦文がある。これは単なる煽り文句ではなかった。うわーこの人ヤバいわー三体みたいなの書ける理由がよーくわかったわーという感想である。
古今東西の有名SFがふんだんに盛り込まれてる「三体」であるが、この短篇集ではドメスティックな要素がより色濃く現われてる気がする。私的にダントツ!と思ったのは
「郷村教師」。
自国の偉大な文豪へのリスペクトとオマージュ。これはこの国の人にしか書けない。と同時に、全世界全人類に響く普遍性も備えてる。何よりこの作品世界に惚れてしまう。この本の中で最高傑作だと思う。
もちろん他のもそれぞれに素晴らしくて、全体的に相当なハイクオリティ。どれもこれも映画化してほしい。個人的には「円円のシャボン玉」、これ新海さんに是非アニメ化してほしいなあ。イメージぴったりだと思う。
「武士とは何か」呉座勇一
後世に伝わる歴史的人物の「名ぜりふ」、これがまず本当に言ったのかどうかから始まって、創作ならばどういう経緯でそうなったのか、を例によって大量の資料をもとに検証・解析、短く端的にまとめ上げた、まさに呉座さんしか出来ない濃い内容の一冊。これから呉座さんが進もうとしている方向も伺える。歴史もの小説や漫画等はこの出版不況の時代においても人気の高いジャンルだから、どんどんやってほしい。史実は史実として踏まえて、そのうえでフィクションを作る人がどう料理しているかを深く知ることは、読書の楽しみを奪うことでは全然なく、もっと魅力的な、汲めども尽きぬ泉の域……つまり沼ですね沼。ハマれば人生もっと楽しくなる。
各トピックが短いので少しずつじっくり読むのに最適だった。特に歴史オタクではなくても難しくない内容だし、ああこういう見方をするんだね歴史家という人は、と違う世界の扉も開く。歴史ドラマや映画なども視点の幅が広がる、ような気がする!
ちょうどNHK大河「どうする家康」が今日で終わったが、「戦国時代」の終焉を描くドラマとともに読む形になったのはとてもよかった。歴史楽しい。
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