「鉄鼠の檻」「終わらない戦争」
なかなかこっちも更新できない。今週は頑張ろう。
「鉄鼠(てっそ)の檻」京極夏彦(2001)※2025/1/19追記:初版1996
久しぶりに「百鬼夜行シリーズ」の新作が発売になったというので、娘が
「ウチにはないのか」
と聞いてきた。お嬢や、あんな鈍器本をウチのぱっつんぱっつんの本棚のどこに置けるというのかね少しは考えてみたらどうだ。とオブラートも何も無しで伝えつつも、そういや魍魎のハコ(変換出ない)の次の一作(名前忘れた)より後は読んでないわと思い出し、図書館で「姑獲鳥の夏」と一緒に借りてやったのがコレ。なんと20年以上前の本!(驚愕)
何、前置きが長い?やだわそんな、京極さんの本に比べたら全然どおってことないでしょうよオホホ。
案の定、事件が起こるまでの前置きが長かったが、その後はすいすいと流れるような読書時間だった。記録にない謎の寺を巡って、古い旅館に滞在する面々が巻き込まれる連続僧侶殺人事件。一言でいうと
「薔薇の名前・禅宗版」
といったところだろうか(←信じてはいけない)。アレよりは随分親切だしわかりやすいのは確かです。いやわかったって言っちゃダメなんだろうけど禅宗的には。横溝正史みも勿論ある。つまり適度におどろおどろしく、読みやすい。
人間って矛盾だらけだよなあ、と思った。俗と聖は結局のところ同じ場所にあるんじゃなかろうか。
なんだかんだやっぱり面白かったので、全シリーズ購入して娘の部屋に若干あるスペースに押し込もうかと目論んでいる。いや、やはり図書館を頼るべきか。うーん。
「終わらない戦争」小泉悠(2023)
此方は対談集。防衛省の千々和泰明さん、中露に詳しい法学博士の熊倉潤さん、おなじみ防衛省の高橋杉男さん。千々和さんの本「戦争はいかに終結したか」は積読中。早く読まないと。
表題のとおり、とてもすぐには終わりそうにないんだけれども、こうして様々な情報を追い、仕分けしながら緻密に分析して考察してくださる方々がいると思うと少し安心する。何もわからない状態が一番怖いので。
世界は日々刻々と変わっていくから、当然この対談がなされた時とはまた違う状況になっている。それでもこういう本を出す意味はある。小泉さんのお言葉を借りると、
「専門家の思考プロセスを垣間見る」
ことにおいて。
「戦争は怪物でもお化けでもありません。……我々人間が、人間の意思によって引き起こし、人間の組織をもって遂行するのが戦争です。そうであるならば、戦争を止める力もまた、人間にあるはずです。あるいはその責任が人間にはあるはずです。」
あとがきでの言葉も沁みる。対談の中にもあったが、中国もロシアもアメリカも、軒並み指導者はけっこうな老人なのだ。ひきかえ、宇のゼレンスキーはまだまだ若い。それが何を意味するか、どうなっていくかの予想は全く容易ではないけれど、たしかに皆同じ人間であって化け物ではないのだと、時々でも自分の中で念押しすることは必要なんだろうと思った。
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