「さよならの儀式」「過ぎる十七の春」「マンマ・ミーア!」
咳が出る間は外出を控えようと(それをいいことに)読書三昧な日々。ただ映画館に行けないのは辛いなー。
「さよならの儀式」宮部みゆき(2023)
宮部さん初のSF短編集。書かれた年代はバラバラである。各々ネタバレなしの粗筋?と☆をつけてみた(個人の感想です)。どれもこれも読みやすく一定のクオリティを保持しているのは流石宮部さん。
此方は単行本発行時の記事だけどいろいろ興味深かったので置いとく↓
はじめてのSF作品集――『さよならの儀式』宮部みゆきインタビュー
「母の法律」(2018)★★★★☆
近未来の「理想的な家族形態システム」、ただそれを運用するのもされるのも生身の人間である以上、想定外の事態も出てくるしどうあっても完璧なものにもなりえない。誰にも明確な悪意などなく、むしろ善意で動いているのにひたすら追い詰められていくだけの主人公が哀れ。
「戦闘員」(2014)★★★★☆
「わたしとワタシ」(2018)★★★☆☆
「さよならの儀式」(2013)★★★★☆
「星に願いを」(2016)★★★☆☆
「聖痕」(2010)★★☆☆☆
「海神の裔」(2015)★★★★★
「保安官の明日」(2011)★★★★★
「過ぎる十七の春」小野不由美(2023)
初出は1990年の「呪われた十七歳」、その加筆修正版が2016年に「過ぎる十七の春」として出て、此方はその加筆修正版だという。言葉遣いや持ち物等に時代を感じるが(まずもって携帯やネットがない)、緻密な構成の妙・登場人物の際立つ個性・物語世界に引っ張り込む吸引力はやはり凄い。
※以下ほんのりネタバレ注意。
「残穢」のような「何かの因縁に囚われて実生活に支障を来している人々」は、もう既にここで、ほぼ完成した形にて描かれているのだ。
個人的に、寺の過去帳を調べるくだりには心惹かれた(私自身、亡父の調べた過去帳情報を整理して文書に仕立て直したりしたことがあるので)。日本には、一般人でもある程度アクセス可能な古い情報が各お寺に残っていたりする。ある家において誰がいつ生まれ、死んでいったかというごくシンプルな記録ながら、本作のような明確な因縁がなくとも感じるものはある。今は国が管理している戸籍、「家」という括りも薄くなって、一族全体を追うのは難しいだろうな。過去帳もデジタル化……はさすがに無理か?
「マンマ・ミーア!」フィリダ・ロイド
Mamma Mia! Phyllida Lloyd(2008米)
録画しておいたのを消化。ブロードウェイミュージカル舞台(1999~)の映画化。第66回ゴールデングローブ賞(2009)をとってる。
いやもうなんていうか、最初から最後までテンションたっか!80年代のギラギラピカピカをぎっちり詰め込んで盛大に弾き出した、超絶派手派手な映画だった。アメリカ映画だけど、舞台はギリシャの小さな島、外国人が考える明るくて陽気で情熱的なラテン気質、を絵にかいたような感じ。メリル・ストリープの熟練の演技、「元モテモテ奔放女子」っぷりもさることながら、娘役のアマンダ・セイフライドが安室ちゃん激似で可愛かった。と思ったら「レ・ミゼラブル」(2012)でのコゼット役だったんかーい!これはまた凄い。昇ってく人は昇ってくんだなあ。
とにかくABBAの曲が懐かしいのと歌って踊る人たちが心から楽しそうなのが和む。ABBAが復活した時のライブをTVで観たけど、おばあ様方がそりゃ嬉しそうに踊っておられたもんなあ。そうそう、たぶん演出なんだろうけど歌も踊りもいい感じに「素人臭い」んですのよ。そこもまたよし。面白かった。ただ今の若い子はこの陽キャぶり放埓ぶりノリノリっぷりにドン引きしちゃうかもしれない(笑)。いいのか悪いのか、はわからない。
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