「フットルース」
二週連続大移動&ガテン系の仕事明けにボンヤリ懐かしの映画を観てたら結構面白かったでござるの巻。
Foot loose Herbert Ross(1984米)
久しぶりに60字梗概を書いてみた。
(以下、ネタバレ注意!)
ロックやダンスを禁止する田舎町に来た高校生が牧師の娘や友人たちの協力のもと議会で演説、卒業ダンスパーティーを開催する。
という、これだけ見るとたわいもないシンプルな話である。
ところが、高校生のみぎり映画館で観た時の印象とはかなり違っていた。
登場人物全員、濃い。熱い。激しい。割と野蛮。何かやってやるぜ感が凄い。
何より主人公レン役のケヴィン・ベーコンがカッコいいったらない。画像だとイマイチ伝わらないが、動いてる姿がとにかく良い。この映画の中では誰が何と言おうと超絶イケメンである。吉田秋生さんの漫画そのまんま。「バナナフィッシュ」の頃の外国人男性キャラの元ネタはリバー・フェニックスとスティングだと思ってたが、ケヴィンもきっと入ってるに違いない。ちなみに共演してるクリス・ペンはショーン・ペンの弟。似てる。(2006年に亡くなってる……悲)
その当時は映画の中の若者たちと同じ年回りだったせいか「横暴な大人たちに反抗して楽しい青春を勝ち取る」という図式しか見えなくて、単純にダンスと音楽カッコいい!で終わってた。アメリカの高校生は皆大人っぽいなーと呑気に感心する、日本のど田舎の高校生であった。
それにしても、禁止条項を決めた張本人の牧師が抱える事情をまるっと忘れてたのには自分でもビックリ。息子が車でウエーイとやって事故死したんだよね。酒やドラッグのみならずロックやダンスまで禁止したのはやりすぎだけど、そこに至る理由があるにはあったのだ。あの頃「堅物すぎる大人」と感じた牧師は辛い傷を負った中年男性で、よき父親でもあった。彼なりに若者を守ろうとはしていた。
ただそのやり方は間違っていて、彼の娘エリエルは兄の死とその後の抑圧によりかなり危険な状態に陥っていた。並走する二台の車に足をかけて立ち、迫りくるトラックに対峙するシーン、これもすっかり忘れてた!のは何でだろう?今ならはっきり自傷行為だとわかる。いわゆる「地元の不良」のボスを彼氏にしてたのも。
主人公レンもまた訳アリで、父親が蒸発して母と二人、親戚を頼ってシカゴからやって来た。シングルマザーに対してまだ世間の目も厳しい時代だ。
ヘラクレスみたいな男はいないの?強くなくちゃダメ、戦わなくちゃダメ、私のヒーローはどこ?という歌が流れる中、異端であるレンが街を変えるのだが、力ではなく真っ当な手段で、つまり言論で人の心(主に牧師)を動かす。議会では却下されたもののモヤモヤしていた牧師は、一部の町民が図書館の本を「焚書」している光景に出くわす。自分が訴えてきた「正義」の暴走を見せつけられて、ついに牧師は自身の誤りを認める――――。
今のアメリカ人も日本人も、もう一度この映画を観直したらいいんじゃないかしら、と思ってしまったくらい、実に示唆に富んだエピソードだった。
まだこの時には「よき家庭像」が存在していて、自立の道をひた走ろうとする「子供達」をあたたかく見守る「大人」がいた。拠って立つ何かがあったよな、あの絶妙なバランスと調和はどこにいってしまったんだろう……としんみりしてしまった。
歌はすべて往年のヒット曲が揃い踏みだが、ダンスは正直今見るとあまり上手くはない。若者が観たらダッサ!と思うかもしれない。でもそこがいいんだよねえ。皆が楽しそうで。今のダンスはキレキレで凄いけど、こういう普通の人も手が届きそうなダンスもいいよね、と婆は思ったんでした。
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