「源氏物語 千年の謎」「知と愛」
ツイッターでフォロワーさんに教えてもらった映画、娘のアマプラで視聴。何もかも人に乗っかる私。
「源氏物語 千年の謎」鶴橋康夫(2011)
※原作:
「源氏物語 悲しみの皇子」高山由紀子
さすがは角川映画、何しろ画面が美しい!御簾越しの見え方、渡殿、衣装、細部まで拘ってキチンと作ってる。出演者の着こなし、立ち居振る舞いも素晴らしい。俯瞰のアングルがよく出て来たけど、女房さん達がワラワラ動いてる様、長い髪や着物の引きまわしなどなどとてもキレイだった。
原作を読んでいないので、どの程度内容に沿ったものなのかどうかはわからないけど、ベースが紫式部(中谷美紀)と藤原道長(東山紀之)との関係、そこに劇中劇の体で光源氏(生田斗真)の話が挟まる形。いやこの三人の美しいことといったら!あの所作をぼーっと観てるだけでも結構幸せになれる。
ただ、ストーリーとしてはちょい詰め込み過ぎかなという感はあり。二時間十五分に収めるにはとてもとても無理がある。安倍晴明まで出て来るしもう。それはそれで楽しめるけど、何も予備知識がないとキツイかもしれない。紫式部の、女房と言う立場でものを書くというのがどれほどの常識はずれな待遇か、もちょいわかりにくいかも。
ニワカ平安オタクとしては「奥に潜む」感がもっとほしかったな。中宮や御息所クラスの女性があんな端近におるわけないやろ、女房でも外走ったりはようせんぞとか気になってしまった。六条御息所が源氏のもとを去る時娘の存在丸っとなかったし、藤壺出家の場所がどこかの寺……桐壺院のための法華八講の後に突然、ていうサプライズ感はどしたー。などと小うるさいツッコミをついしてしまう。
原作が「あさきゆめみし」に近いのか、映画が寄せたのかわからないが、ビジュアル結構頑張ってたので色々と惜しい感じ。
まず平安という時代の説明とか宮中の暮らし、貴族の日常、なんかの説明が要るんだよね。再来年の大河、何とか一年かけてその辺からガッツリやってくんないかしら。何であんな御簾とか几帳とかっていう速攻で取っ払えるようなものが障壁として機能してたのか、考えるとすごく面白い。それを「取っ払う」流れというのをどう作ってくのか、っていうのも。
現代人にとっては非日常の、平安の日常をキッチリ描くだけでも大変だと思うけど、ここで頑張ればきっと次にも繋がる!題材多い時代だし。ひとつお願いします、大河の皆さま。
そうそう、最後のテロップをボヤーと見ていたら、なんと
越前和紙 卯立の工芸館
が出てたー!福井県も今こそ乗っかるんだこのビッグウェイブに!
にほんブログ村近所の図書館のサイトに電子書籍がお目見えしてからもう何年?久しぶりに覗いてみたらばえらく充実してたので、ついつい。
「知と愛 ―ナルチスとゴルトムント-」ヘルマン・ヘッセ 永野藤夫 訳
教科書に載ってる皆のトラウマ短編「少年の日の思い出」の作者、此方も鬱展開の「車輪の下」でおなじみのヘルマン・ヘッセ。実をいうとこの二つ以外読んだこと無かったです。
読み始めたらやめられなくなり一気にいった。そして思った、
「これ、まんま竹宮恵子さんや萩尾望都さんの世界やん」
と。お二人とも絶対に読んでるコレ!
この日本語タイトル「知と愛」って誰がつけたんだろう。原題のナルチスとゴルトムントの関係はまさにこれで。ってググったら何と最近映画化もされてる!観たい!ナルチスのイメージがちょっと違うけど(私の中では『トーマの心臓』のユーリのイメージ)、観たい!
ストーリーは極めて王道、
旅立ち→放浪→苦難→栄光→落魄→帰還
といった流れをなぞる感じ。
ナルチスに本質を見出されて修道院を出たゴルトムントは自由を謳歌、自らの内にある望みを見つけ、目標に向かって一直線に突き進む。ただ彼の真の望みは「芸術品を遺すこと」ではなかった。失われた母の存在を通して自分自身の存在をとらえることであり、老いた身体でみっともなく地を這いずる中で見事にその境地に達した。初めから誰より彼の理解者であったナルチスも、その姿を見届けることで知性だけでは到達できなかった場所に辿り着く。どちらが欠けても成り立たなかったこの物語世界は、ゴルトムントの死により永遠の命を得る―――
タイプはぜんぜん違うが、「物語」への向き合い方が「犬王」に通じるものがある。大変面白うございました。やはり古典は残る理由があるんだね。
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