「現代ロシアの軍事戦略」「ロシア点描」

今引っ張りだこの小泉先生連発。


「現代ロシアの軍事戦略」小泉悠(2021)

これね、この本2021年5月が第一刷なのよね。まるで予言書のように、現実として戦争が起こってしまった。アメリカにしても、かなり早くから情報は掴んでいて、ほぼ予測の通りに物事が進んだと聞いている。こと軍事研究にかけては、これほどまでに正鵠を得る「予知」が出来るようになっているのかとかなり驚いた。それでも事前に止めることは無理だということも。人間の意思というものの強さと恐ろしさを実感する。

 さて小泉先生は「ロシア軍事研究」がご専門。学術論文ではない一般向けの新書ということもあり、その筆致は端的にして明快、扱っている内容の濃さ、複雑さを考えると非常に丁寧に、わかりやすく書かれていると思う。豊富な知識や客観的事実といったベースがまずあって、常にそこからブレない姿勢は、テレビで話されている時と同じ。私ごときがとても全てを受けとりました理解できましたとは言えないが、とっかかりくらいは掴めただろうか。とりあえず、日本人の大多数(政府も含め)がこれまで見ていたロシアという国と、小泉氏の目からみたそれとはまったく別ものだということはよくわかった。国はちゃんと本物の「識者」を見極める目を持たないと。年長者が必ずしもいいとは限らん。



「ロシア点描」小泉悠(2022)

 同じ小泉氏の著書だがこちらはぐっとくだけた感じ。情報量はやはり多いのだが、文章は明るく軽快で非常に読みやすい。何だろう、「軍事戦略」の方にしてもガチガチ感がない。何を書かれてもそこはかとないユーモアを感じる(Twitterでの言動のせいか?(笑))。きっと天性の気質もあるだろうし、落語経験者でもあるし、サービス精神に溢れた方であることは間違いない。何より「好き」が嵩じて研究者になったというのだから、底には広くて深い「愛」があるのだ、確実に。

 大学生の娘に勧めたら一時間くらいで読破してた。

「この人の言う事が全部本当だとしたら、何かこれ分かり合うのムリじゃない?」

 だそうです。「分かり合う」のが出来なくてもいいけど、せめて「違うものは叩き潰す」じゃなく「みんなちがってみんないい」にならんものだろうかね、ホントに。

 今時漫画でも見かけないようなベタな現実が、かの国には未だふんだんにある。こんな状態に陥らなければ、この本によって行ってみたい!と思い立つ人も出たんではなかろうか。解決はいつになるのやらわからないが、その時にはこの本に書かれているようなロシアはもう無いかもしれない。そういう意味でも書かれるべき本であったし、読んで損はない本だとも思う。

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