おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「三体3 死神永生」「破船」

2022年4月29日  2023年9月12日 

 例によって何の脈絡もなく。


「三体3 死神永生」劉 慈欣(2021)

三部作の最終話。いやーーーーーーすごかった。もう凄いとしか言いようがない。初めからの色々がああなってこうなって最後にこうくるかー!という感じ。中盤からの盛り上げが素晴らしすぎてもうクラクラする。超絶ハイテク物体のエグさ、禍々しさと来たらもう痺れます。一方で、何気ない風景の描写が誌的でとてもいい。やはりそこは漢詩の国の人だからなのか。もともとない語彙力が完全に喪失。そして、今作も様々なSF作品や映画のシーンが走馬灯のようによぎるよぎる。

 個人的におおっと思ったのは「パフューム ある殺人の物語」のあのシーン。え、アレだよね?ゼッタイアレ(謎)。

 ダメだとめどもなくなる。いやもう、絶対に一度は読んだ方がいい。難しい部分はスルーしても、物語の力と勢いが乗せて行ってくれる。何よりこれを読んだことでまた色んな世界への扉が開くと思う。



「破船」吉村昭


 例によってツイッターで見かけて。

2022年本屋大賞の「発掘部門」で超発掘本!として出て来たという一冊。短いので一気に読める。


 !!!以下、ほんのりネタバレなので注意!!!

 淡々としたクールな筆致にて語られる貧しい漁村のリアル。四季折々の、多分傍目にはのどかな風景の中、じわじわ真綿で締められるように不安が積もっていく。飢えというものを知らない現代人でも、食べていけるかどうかというのは本当に根源的な恐怖だと実感できる。過酷で無慈悲な自然の中で、よくもよくも人類は生き延びてきたものだ。この村人たちを愚かとはとても笑えない。先人が間違いを犯して手ひどいしっぺ返しを無数に繰り返したからこそ、多大な犠牲を払って来たこそ私たちは今ここにいるのだ。

 この「お船様」(ようは難破した船の荷物を略奪する)の話どこかで読んだと思って探したら、やっぱりこれだった。

「日本残酷物語1 貧しき人々のむれ」

 しかも本当に初めの方にいきなり。この本、色んな人の共著となってるんだけど、何が大元なんだろうか。フィールドワークでかき集めた話も多いのだろうが、別にまとまってるのがあるなら読んでみたい。吉村氏が何からこの話の着想を得て、資料としてた本は何か知りたいな。

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