ほぼ一気読みの二冊。
積読のうちの一冊。澤村さんの本は読み始めたら一気……のはずだったのだが、諸般の事情で冒頭数ページを読んだところで暫し放置。(面白くなかったわけでは全然ない。むしろその逆。もともと離島の閉鎖空間といわくありげな雰囲気は大好物)
で、この三連休のはじめ、オリンピックの応援の合間に残りを読んだ。当然一気に最後まで。霊能者が大流行して、テレビや雑誌でもてはやされた時代をまさにリアルで体験した世代としては色々と刺さる内容。昭和と平成、どちらもブームがあったけれど、子供だった頃どちらを経験してるかでこの物語の印象は変わるかもしれないな、と何となく思った。横溝正史の「獄門島」(個人的には金田一シリーズの最高傑作だと思う)へのオマージュがあるが、それよりも真っ先に思い出したのは山岸涼子の「汐の声」。
ネタバレがダメなやつなので粗筋はあえて書かないが、子供時代に刻みつけられた言葉とイメージの威力はあまりにも大きい、とだけ。
で、此方ですよ。
「予言の島」を読み終えた日の夜、図書館から予約完了メールが入ってるのに気づいた。
翌日午前中に取りに行って、午後から読み始めすぐに読了。
著者自身も冒頭で仰っているが、タイトルだけみると完全にオカルトトンデモ本、と誤解されそうである。しかし最初から最後まで全然そんなことはない。ただ「当事者が経験したこと」をそのまま書いている。
ざっくり言うと、幼い頃から「死者が見える人」であった女性が、東日本大震災を境に「自分の魂を押しのけて入って来ようとする死者」をコントロールできなくなり、とある寺の住職に相談して祓ってもらった、という話。
……あ、余計にアヤシくなってしまった……。
この本を勧めてくれた友人の説明を借りると、シドニイ・シェルダンの「24人のビリー・ミリガン」に似通った話である。ただフィクションではない、ノンフィクションなのだ。
「彼女の言っていることが真実かどうかは問題ではない」
と住職は言い、「死者たち」に苦しめられる彼女を助けるべく解決を試みる。
本の中でも言及があったが映画「エクソシスト」、そして日本古来の「憑き物落し」、の世界そのままである。ある定型のメソッドや儀式に則って「憑いたもの」を祓う。医学が発達したこの現代で、今も解決方法として有効であることが驚きだった。
個人的には、この女性は人並外れて繊細で、共感力とイメージ力が優れているのだと思う。ご自身も仰っておられたがまさに「中継器」。未曽有の災害に遭ったことで(いくら情報を入れないよう心掛けてはいても)、心ならずも拾うものが多すぎてキャパオーバーとなったのではないか。
全部が脳の働きだ、といってしまえば簡単だが、何にし他の人が感知しえないものを感知してるには違いないのだ。此の世と彼の世の境である「あいまいな世界」に入り込んでしまい、自分の目で外界を見ることもできない彼女を救い出すには、まずその原因である「死者」に納得してもらい、彼の世へと送り出さねばならない。普段の彼女ならば自分でそれを行えた。だが今は多すぎてどうにもならない。外にいる誰かに頼るしかなく、その役割を担ったのが住職とその妻、寺の人々だった。
住職により、彼女自身も不可解だったその世界のことが徐々に明らかになり、辻褄があっていく様は中々興味深い。正直言って、「予言の島」の中で揶揄されていた自称霊能者の使う定番メソッドに近い部分もあると感じた。しかし、決定的に違うのは決して「踏み込み過ぎない」ところだ。あくまで現世にいる者としてただ目の前の事実に向き合う、話をきちんと聞く、悲しみや苦しみや無念の思いを受けとめ、理解して、行くべき道を示す、のみ。対峙した住職は特に類まれなるバランス感覚で、ここまで来るともはや異能に近い。僧職とはこれほど強いものか、と感動すら覚えた。
これはいち女性の救済の物語であり、誰とも知れぬ30人の死者の救済の物語でもある。タイトルそのまま、完全に両立している。書き方のバランスも絶妙だと思う。
ただ!それでも、ここで誰より自分自身に言い聞かせるために書いておく。この本が表した世界に嵌り過ぎるのはやはり危うい。ご本人が常々そうしていたように、普段は極力そちらの方に意識を向けない方がいい。此の世の者は此の世に踏みとどまらねばならないのだ。彼女のように自分自身をよくわかっている人がやむにやまれず寺に頼るのはいいと思うが(相手の見極めも含め)、誰にでも当てはめられるような体験ではないし、方法でも無い。
何でこんなことをわざわざ書くかというと、私にしてもちょっと怖いんである。いつもなら読み始めたら速攻で読了してた澤村さんの本をどういうわけか中断(それも結構な長い間)してしまったというのがまず不可解。三連休に読みたくなったというのはいいとして、読了後にたまたま予約の順番が回ってくるって一体どういうこと?
「霊能者」のインチキを暴き立て、長きに渡るネガティブな影響を描く「予言の島」が、この「死者の告白」の世界に引っ張られないようブレーキをかける役割を担った……と考えると、偶然とはいえ巡り合わせの妙に本気でゾゾっときた。
なので、この順で読むのはおススメって感じです。うん。
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