「神の左手」「戦乱と民衆」
タイトルと表紙に惹かれた。三部作の一作目。
THE LEFT HAND OF GOD(2011)
いや面白かった。474ページ二日で読破。「ダークファンタジー」というジャンルなら欠かせない要素が全部詰まってる。正直、詰めつめ過ぎて構成が粗く、え?!いつの間にそうなった?!もうちょっと書いてくれや的な感じの展開もありアレレとなったりもするんだけど、冒頭の「サンクチュアリ」で引きこまれ(迷宮っぽい造りの建物と謎の空間←好き)、主人公のケイルのイメージを何となくリバー・フェニックスと重ね合わせて読んでたら止まらなくなった。この勢いで三部作突っ走ったんならそれはそれで凄いな。次のを早く読もう。
紹介分に「日文研シンポジウム『日本史の戦乱と民衆』に、後日おこなわれた座談会を加えた」とあるように、気鋭の歴史学者が揃い踏み。講義風で明快。一気読みしました。
民衆にとっては戦乱が自然災害と同じようなものであるという捉え方は面白かった。単にやられっぱなしではない、土一揆、徳政一揆なるものが必ずしも「権力との戦い」とは限らない、むしろ略奪を正当化するための方便みたいなところがあったとか、アレレ今もそういうのあるよね…と思うところ多々。人間ってやっぱり大してやってることは変わらないのだ。
歴史研究といえば一次史料が大事、というのは常識だけれど、そればかりに拘りすぎるのも間違いで、「違う立場の人」が「別視点で」「後に回想として書いた」ことも注目する必要がある、というのはとてもとても同意。その時点で書かれたビジネス文書的なものと併せて見比べれば、また違う歴史の姿が見えて来る。
となると、今のこのコロナ騒ぎもある程度経ったらまとめて書き留めておいたほうがよいのかしら。ネットの大海にたゆたう無数の記録が、いつか誰かに拾われて役立つ日が来るといいな。
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