記事の表題が既にカオスな気がするわ。
「氷点 上下」三浦綾子(1964~1965に朝日新聞にて連載)
「おろち」楳図かずお(1969-1970)
「氷点」はツイッターにて「読書の原体験」的な扱いで紹介されてたので、アレ?これ読んでた気がするけどこんな話だっけ?丸っと忘れてる…と思ってSonyのReaderStoreで買ってみた(電子書籍上巻無料、セール中♪)。まず結論として、読んでなかった。なんでだ!ドラマで観たのを勘違いしたか?!まあそんなことはどうでもいいけれど面白かった。一気読みしてしまいました。「続」もついポチっと。
---以下ネタバレ注意---
テーマは「原罪」。我が子を殺した犯人の子供を引き取って育てるという話なんだけど、その理由からその後の振舞いから、とにかくこの両親が自分勝手で愚かすぎてキツイ。特に母親の夏枝。最初から人として何か欠落してるとしか思えない。見た目は美人で上品でいいところの奥様然としてるのに、シレっと嘘はつくわ陰湿な嫌がらせをするわ都合よく自分の言動は忘れるわで完全にヤバい人。で、そんなのにゾッコン惚れこんでて判断を完全に誤っちゃう父親……同じく、若い頃から夏枝に懸想してた親友の男も大概。とにかく皆が皆、距離が近すぎるというかお互いを「信頼」しすぎてて、簡単に隠蔽されるし誤魔化されるし騙される。何となく「信用」より「信頼」の方がより良いような気がしてたけど、いや信頼ってアカンやん……信用の方が合理的で適正距離が保たれていいやん……ハッだから金融関係は「信用」なのか!と今更ながら悟った次第。
子供にはもちろん何の罪もない。ないが、娘も潔癖過ぎてヤバい。ジッドの「狭き門」、ちょうどあの主人公みたいな感じ。生まれ落ちるからずっと大人に振り回され続けて、同情すべき点は多々あるけどうーん。常に他罰的な夏枝の性質をまんまひっくり返したような、極端さでいえば同じ程度。うわーもう離れて暮らしなよって思う。続編に期待(更なる胸糞展開らしいけど)。
結局、兄の徹が一番普通の感覚に近い感じかな。いちはやく家から離れることを選んだところも慧眼。幸せになってほしい。続編に期待(やばそう)。
で、「おろち」全四巻。その二巻目の「秀才」(1969)がまさに似たような、というより明らかに「氷点」の設定をそのまんま持ってきて入れ替えて作ったような話。展開もラストも全然違うけど、登場人物の名前も微妙に掠っていて、というより殺人犯の妻の名前が一字違いの夏江でうわあと……楳図さんも夏枝嫌いだったんだね、うんわかる。そしてこちらでも父親が情けないのは同じ。おそらく「氷点」での母親というものの描写が納得いかなかったんだろうな。夏枝はおよそ母って感じじゃなくはっきり「女」だもんね。こういう「母」をここまで容赦なく書けるのは女性作家ならではなのかもしれない。ただ、私としては楳図さんの母の狂気のほうがよりリアルかなと思った。(こっちはこっちで酷い)
ところで私が幼い頃繰り返し読んだ「おろち」は、まさにその電子書籍版二巻に入ってる「ふるさと」と「鍵」だったのだが、どっちも今読んでも衝撃度が高かった。「ふるさと」はまんまスティーヴン・キングの世界でありストーリー展開、後に私がキングに嵌った理由はこれかー!と今になって理解した(遅)。
「鍵」は嘘つきの男の子の話。此方はかなり見方が変わった。嘘のせいで大騒ぎが起こったり皆に嫌われたり、親にも幼稚園の先生にも、果ては警察にまで散々叱られても何故か一向に止めない男の子。しかも全く悪びれない。虚言癖とは違う、嘘をつくことでどうなるか、周りがどう反応するかを観察しているように見える。しかしこの普段の行いのせいで、危機に陥っても両親や近所の人々は全く信じてくれず当然助けてもくれない。男の子はたった一人で何とかしなければならなくなるが、ここぞとばかりに嘘をつきまくって幼稚園児とは思えないたくましい逃走劇を見せる。結局大人の嘘には敵わず捕らわれてしまうが、無意識についた嘘によって助かる。だがその後もその子の嘘は止まず、何も変わらなかった、という話。
子供の頃は、ここまで酷い目にあったというのに何で?と不思議だったが、今ならわかる気がする。これらすべては「真実って何だ?」という男の子の問いであり、男の子の中では未だ答えが出ていないからだ。大人も子供も皆嘘ばっかりついてるのに、何で「嘘はダメ」ってことになってるんだ?どこまでの、どういう嘘ならOKなの?嘘つきはドロボーのはじまりっていうけど、どこまでついたらドロボーになるの?
確かに、どういう大人になったか凄く興味がある。名前がひろゆきってのがまた(笑)今なら五十代かあ…
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