おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

絵合 二 ~オフィスにて~

2020年7月20日  2022年6月9日 
「ねえ右近ちゃん」
「なあに侍従ちゃん」
「この頃、内裏で絵が流行ってんだって?女房さんたち皆、誰の絵がああだのこうだの、誰それにナントカを描いてもらっちゃったーキャーうっそー見せて見せてーだのって、そんな話ばっかりよ。まあ今季節のイベントも無い狭間の期間だから余計なんだろうけど」
「それなんだけど、どうもこの間入内してきた前斎宮さまが火元みたいよ。あの方、すごい絵が上手いらしい。帝が元々絵がお好きでご自分でも描かれるから意気投合して、一気に滞在時間も延びたって。王命婦さん情報によれば」
「あー、あの方梅壺にいらっしゃるのよね。藤壺の隣じゃん。そりゃ王命婦さんチェックし放題だわ」
「帝は、前々から絵の巧い若手の殿上人さん集めて、趣味のサロン的なことまでやってたのよね。そこに入内してきた一見、年上の落ち着いた美人お姉さんって風情の新お后さまが、子供みたいにああでもないこうでもないって一心に絵を描いてる、しかもメチャクチャクオリティ高い、となったらそりゃグっと気持ちが傾くわよね」
「となると弘徽殿の方は……」
「ちょいと分が悪い。絵は嫌いじゃないし嗜み程度には知ってるけどそこまでは、って感じ。とはいえ帝と同年代で既にラブラブだから、単に趣味が違うってだけで別に疎遠になったわけではないんだけどね。お父様が焦ってらっしゃるわけ」
「お父さまって……権中納言さまだっけ。あの方呼び名が無くて役職名だけだから、しょっちゅう変わってややこしいよねー。ヒカル王子の自称・ライバルのお方よね」
「元が負けず嫌いな上に王子絡みとなると余計ムキになる人だから、『負 け な い!』って熱くなっちゃって、絵師をかき集めてたっかい紙も惜しげも無く大盤振る舞い、どんどん描かせてるらしい」
「ヒエ―、そうなんだ! お金いくらあっても足りないじゃん。経済回してるう」
「好きなように描かせてるんならまあ絵師さんにしても願ったりかなったりなんだろうけど、題材から構図から色合いまで、いっちいち指示が細かくてウルサイらしいよ。物語の絵がサイコー!異論は認めない!的な感じで、名場面集みたいなの量産させてるんだって。あとほら、月次(つきなみ)絵ってあるじゃない?一年十二か月の行事とか季節感ある日常風景とか順に描いてあるやつ。お歌付きでね。メッチャ気合入れて作ってるから帝もこれはすごい!ってなって、当然梅壺の宮にも見せたい!ってなるじゃん?権中納言さま、何だかんだ言い訳して抱え込んで、絶対に持って行かせないらしい」
「えっそうなんだ。あの子に見せるんならかーさない!って感じー?女子か!」
大人げないわよね(笑)それを聞いた王子も呆れちゃって、じゃあウチの手持ちも探してみるか、帝のためにって体で、二条院を家探し中だって少納言さん言ってた」
「なるほどー。でもきっと王子も『負 け な い!』って思ってんだろうねそれは」
「だろうね。間違いない(笑)」
「嵐の予感(ただし楽しそう♪)」
参考HP「源氏物語の世界」他
<絵合 三 につづく
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