「ずうのめ人形」

衝動買いのうちのひとつ。


「ずうのめ人形」澤村伊智
ぼぎわんの後の二作目(凄い)。ひらがな遣いがうまい。単純な仕掛けなんだけど、字面が既に怖いよねこれ。




【60字梗概】
歪んだ家庭をもつ女が書いた都市伝説を絡めた小説が読んだ者を死なせるが、居所を突き止められ呪いとともに死に連鎖は停止する。

今作品にも霊能者のマコトと野崎が出て来るけど、ほぼ大筋には関係ない。結婚を決め幸せな家族を築こうとしている二人には、マコトのいうところの「隙間」がなく、結果として呪いの本体には触れられない(=理解しきれない)感が強い。前作もそうだったが、類まれなる霊能力者であってもこの手の化け物を無傷で取り去ることは容易ではないのだ。魔を呼び込む「普通の人間」が一番手強くて怖いのかもしれない。
 たわいもない都市伝説が女の「隙間」に入り込んで、原稿が一種の形代となり人形として具現化するというアイディアは面白い。黒振袖の日本人形で名前が「ずうのめ人形」って怖すぎ。全体としては作中でも出て来る「リング」や「残穢」の流れを汲んでいるが、より一層凶悪で過激。本体の意思に全く関係なく、周囲にいる無関係の人間まで巻き込んで殺戮するんだから、まさに呪いの暴走機関車である。
「息子さんと仲良くしてあげてください。旦那さんとも。あと仕事の人とも」
 マコトが女に言ったこのセリフ、前作でもモラハラ夫に対して同じようなことを言ってる。家族を大事にするというのがどういうことかわからないのだ。この女も父のDVの被害者ではあるのだけれど、結果的に父と同じように家族を完全支配下に置き、不幸を連鎖させてしまっている。望みはただ「幸せな家庭」だったのに、解決しないまま溜めこんでいった歪みが一気に全てを崩壊させてしまった。
 こういう、隙間に入り込む憎しみや嫉妬や、誰かを害したいという黒い感情はどうやって祓ったらいいのだろうか。理想はその都度その都度、小さなことを解決していくしかないのだろうけど、知らないうちに積もってしまったら。それは次作以降なのかな。 にほんブログ村 本ブログ 読書備忘録へ
にほんブログ村

0 件のコメント:

コメントを投稿