「ニュールンベルグ裁判」

 
「ニュールンベルグ裁判」スタンリー・クレイマー
Judgment at Nuremberg’ Stanley Kramer(1961米)

 このところ古い映画ばかり観ている。しかもけっこうな長いやつ。これも179分。三時間!暇なのか!いや全然!(なんでだ!
 実際に行われた国際軍事裁判を基にしたフィクションだが、ナチスだけを糾弾する内容ではなく、「勝者」であるロシアイギリスアメリカ(自国)をも痛烈に批判している。戦後十年そこそこでこういう作品をエンタテイメントとして作っちゃうアメリカは、やっぱりかなり懐の深い国だと思うのだ、本来は。
 この時期に、広島・長崎原爆で女子供を大量に虐殺したとか、ヒトラー台頭時はチャーチルが称賛してたとか、戦争景気に乗り金儲けしたとか、そういうことを作中でズバズバ言わせてるのも凄いし、結局絶対悪など存在しない、大義名分や地位や立場を利用し、歪んだ同調と協調により個々の「普通の人間」が犯した罪だと当の被告に喝破させちゃうのも凄い。この時点でここまで理解を深めていたのに、その後延々続いた泥沼はどういうことなんだろう。いみじくもドイツ側被告人が言っていた「共産主義にやられるぞ」という言葉はある意味実現してしまったし。
 ラストシーン、自分は女子供が何百万人もああして殺されていたことは知らなかった、それだけは信じてくれ(you must believe it)と訴える、被告の中で最も人として「まとも」であるドイツ人法律学者に対し、
「あなたが無罪と知りつつ死刑にしたのがはじまりだ」
と一刀両断にする判事。うわーーきっつ。そこまでいう。でも、本当のことだ。水に落ちた黒い染みが同心円状に広がるように、犯した罪は自分の力の及ぶ範疇以上にエスカレートし広がっていくものなのだ。誰も自分のやったことからは逃れられない。収監された被告は全員釈放されたということだけど、どうやって生きていったのだろうか。
「日本の一番長い日」の時も思ったが、やはり戦争の記憶が生々しい時期に作られた映画は一味違う。監督や演じている俳優たちは勿論の事、およそ関わった全てのスタッフにとって他人事ではなかったろう。身近にあった、実際に体験もした悲惨としてヒリヒリするような緊張感に包まれていたに相違ない。
 とりまバート・ランカスターはイケメンで、マレーネ・ディートリッヒは美しかった。何より隙のない所作がキレイね。

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