おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「万引き家族」

2018年12月28日  2023年9月12日 
「万引き家族」是枝裕和(2018)

ロードショーで観そこなった(恒例)のをオープン間もないアップリンク吉祥寺で観た。いやー新しくてどこもかしこも超キレイ!座席は色分けされて可愛いし、ちゃんと互い違いになっててナイス。往年のミニシアターブームを思い起こさせるこじんまり感もいい。しかもトイレの手洗い場についてる乾燥機が、「吸引力の変わらない唯一つ」のアレ。音でかいが乾燥力も凄いわ。

【60字梗概】
各々事情を抱えた6人は他人同士ながら疑似家族として暮らしていたが、祖母の死とその隠蔽を境に犯罪行為が次々に明るみに出て、遂に離散する。

「2018年・第71回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品され、日本映画としては1997年の「うなぎ」以来21年ぶりとなる、最高賞のパルムドールを受賞した」(映画.COMより)

良い映画は冒頭のシーンからして違う。世界にスっと引き込まれる。この日私は電車に乗り遅れて駅にギリギリ到着、開始とほぼ同時に席についたのだが、スクリーンに目をやった瞬間から一気に入り込んだ。映像も、役者も、セリフも、何もかも全部素晴らしい。テーマやアングルがひと昔前のイタリア映画のようだと思った。
そして何より安藤サクラさんのすばらしさ。当然ながら毎朝NHK朝ドラで観ている姿とは全く違う、真逆といってもいい役。その辺にいそうな「オバチャン」然として徹底したリアリストと思いきや、子供に対する実の母、いやそれ以上とも見まがう献身、かと思えば職を失いヤケになって買った新しい下着をつけて素麺をすする姿の凄まじい色っぽさ。まさに変幻自在、女優としてワールドワイドに高い評価を受けたことも頷ける。
ストーリーとしては、よくある「家族の形はひとつではない」というテーマを単純になぞるのではなく、むしろ家族を超えたところにある根源的な人間の繋がり方を問うているように見える。束の間の、偽りの関係であっても人は幸せになり得るし、強さを獲得することもできるのだ。かくして疑似家族の中心にいた老女は幸せなまま亡くなり、結果的に他の5人が些細な悪事から本格的な悪事につき進むことを阻止した(故・樹木希林さんの演技は圧巻)。
物語は全員バラバラになりそれぞれの人生を歩むところで終わるのだが、前途多難ながら皆何とかして生きていけそうに思える。最後の、一番小さな女の子が再びベランダから外を見つめる瞳の力強さがその象徴。ハッピーエンドと言っていいと思う。

いやー、映画はやっぱり映画館で観なきゃね!アップリンク会員になるかどうか思案中。

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