「カエルの楽園」「日本国紀」
「日本国紀」 百田尚樹
いろいろ物議を醸しがちな百田さん二連発。「カエルの楽園」は気にはなっていたものの読んでいなかったのだが、これまた娘に請われて買った。友達が面白かった!と言ってたからと。
カエルの楽園【梗概】
三戒を平和の根拠として守るカエルの国が、外敵に侵食され仲間を殺されても戦わず、反対する者を排除した結果、ついに滅亡する。
まずカエルの楽園、これは梗概だけでもどこかの国の寓話だと察しがつくのだけれど、登場人物についても名づけからして相当あからさまなので、殆ど誰なのかわかってしまう。楽しいといえば楽しいがちょっと見たまんま過ぎてつまんないかな、もっと内面抉ってほしいわとか、その国がこうなった理由付けがもうひとつ食い足りない、圧をかけた外国はひとつじゃないしなあとか思っていたら次に「日本国紀」が出たので、ああそういうことかと納得。書く順番逆にした方がよかったかもしれない。それか今から「カエルの楽園・滅亡を免れるバージョン」を書いたらどうだろうか。本当のラスボスは誰なのか、「思い込んでしまっている人」の頑なな洗脳を解くにはどうしたらいいか、フィクションだからこそできる作家ならではの実験、是非やってみてほしい。
そして「日本国紀」、早速間違いがあったとかでネットを賑わしているが、一通り読んでみた感想としては「別に論文でも学術本でもなし、そこまで騒ぐこともない」だ。
学者でもジャーナリストでもないいち作家が、自分なりに調べて理解し解釈した通史なのだから、そのつもりで読めばいいだけじゃないかな。学術本にしたって細かい誤りは日常茶飯事だし、後に新たな証拠が出て内容全部覆ることだってある。考え方が偏っているのは誰でも同じ。むしろ本よりテレビでさも本当かのように嘘を騙る場合の方が多いので、批判するならそっちかなと思う。あちらこそ引用元全く不明だし。
ご本人も書かれていたが、平成が終わろうというこの年に出版されたこと自体に意味があるのだ。
内容としては非常に読みやすいしわかりやすい。特に明治維新以降、戦争に突入し負けて、現代にいたるまでの複雑な流れがうまくまとめられているように思う。歴史本は要するにどう要約されているかだから、ちょうどいま幕末関係の本を読んでる私には有り難かった。
ただひとつ批判に同意するなら「引用元の記載がない」こと。歴史本なら特に何を基に書かれたかは重要だし、特に若い読者の読書の幅を広げる役にも立つ。単純に興味もある。今からでもいいから発表してほしいなあ。
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