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自動人形の城(オートマトンの城)人工知能の意図理解をめぐる物語

2018年10月30日  2023年9月13日 
 
「自動人形の城(オートマトンの城)」 :人工知能の意図理解をめぐる物語 川添 愛

ツイッターにて見かけて気になったので読んでみた。東大出版会が出していて作者は言語学・自然言語処理が専門、と中々学術的だが、中身は非常に読みやすく、読書好きならば小学生(中~高学年)でもいけると思う。

【60字梗概】
自動人形に取り換えられた城の家来たちを王子とその家庭教師の魔術師が知恵を絞って働かせ、仲間を取り戻して敵を倒す。


「AIに人間と同じことをさせるとしたら、どういう点に注意が必要か」を基に書かれている物語なので、人物一人一人の特性、一つ一つのエピソードが強く明確に関連付けられている。だからか、前ふり部分が少し長め。いつもキングの超長い伏線を楽しんでいる私だが、今回読み始めたのが夏だったせいか(暑かった…)、ワガママ王子がやっとこせ状況を受け入れたところで止まってしまっていた。秋も深まり再開したら一気に読了。
キングほど長くもないし、難しくもないし、王子の成長物語としてもよく出来てるし普通に面白かったんだが、何で止まったんだろう?と考えるに、自動人形と普通の人間との違いのバリエーション説明がちょっと多かったかもしれない。わかりやすくしようとする余りやや情報過多になっている気がした。小説として書くならもう少し省略するか、ぼかすかしても良かったかな?と思う。モヤモヤしたまま終わっても最後にしっかり解説も付いているのでそこでああそうか!となり、もう一回読み返そう!ということにもなるかもしれない。
興味深かったのは、「自動人形」に教え込むにしても、知らない・できないことは教えられないということだ。つまりはAIと言えども人間とその知識や技術や実践ありきの存在。人が作ったものだから当然と言えば当然なのだが、つくづく人間の脳って途轍もなく緻密で優秀な器官なのね。

ただAIが人間をお手本にしてどんどん進化していって、人間の脳と同じ能力を兼ね備えるようになったら、人間の生物としての存在意義はどうなるんだろう?知識だけでなく経験や技術も簡単にアクセスや共有が出来るようになったら、自と他の境目ってなくならない?みんな一緒くたの大きな意識になっちゃうってこと???そうすると生まれるとか死ぬとかいう概念も無くなる???
とすると今の人間も一種の「自動人形」なのかもしれないなあ。待てよ色即是空ってそういうことか(違う)。
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