「過ぎ去りし王国の城」

 
「過ぎ去りし王国の城」 宮部みゆき
子供と共に本屋で大量買いした時の一冊。

【60字梗概】
数十年前に失踪した少女が暮らす城の絵の世界に入った中三男女と中年男性が、現実で救われる手立てを教えて少女の未来を変えた。

宮部さんの作品は意外とハッピーエンドが少ない。ミステリー物とか社会派物ならばむしろその方がいいのだが個人的には、こういうファンタジーと現実を行き来するような話はもう少しどうにかいい感じに終わってくれないのかなあと思ってしまう。いや女の子は救われたしバクさんも前向きになれたんだけど中学生二人が…真はともかく城田の境遇はかなりハードモードなので、こんなに頑張ったのにとちょっと悲しくなった。スティーブン・キングも大概バッドエンドが多いけれども、勧善懲悪エピソードもふんだんに入っていて、やられても容赦なくやり返すので結構スカッとする。現実には中々そういうことがないからこそ読みたいのよ。
あとこの作品、シャーリイ・ジャクスンの「ずっとお城で暮らしてる」をモチーフにしているものの、実は作者自身はお城の中には入れていない。真面目で誠実、正義感が強く常識的なところが宮部さんの美点で、その分身のような城田だけが唯一「女の子を救うためという大義名分」付で入ったものの城は崩壊。明確な意思を持ち込むこと自体、シャーリイの世界とは全く相いれないのだ。

やっぱり杉村さんを極めるのがいいと思うんですよ。宮部さんの中に眠る、宮部さんだけの狂気だあれは。

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