おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

五~七月に読んだ本

2017年8月17日  2023年9月13日 
例によってまた更新をサボってしまった!久しぶりなので何を読んだやら忘れてる…順不同で行きます。

「荒神」宮部みゆき

久しぶりの宮部さん。ご本人の「特撮時代劇を書きました!」との言は読み終わってから知ったのだが、私の印象としては特に冒頭の掴みは「ジョーズ」とか「グリズリー」とかのパニック物を連想。途中のグロい描写は「進撃の巨人」、途中でその生き物の正体がわかったところではじめてああこれゴジラだ、とわかった。
以前、宮部さんにはファンタジー向かないのでは?と書いたことがあるが、今回時代物だったせいか特に違和感なく、当時の社会問題+伝奇的な要素がバランスよく組み合わされて興味深かった。兄妹と家の因縁話は歌舞伎でやっても似合いそう。ただ「英雄の書」でもそうだったように、やっぱり兄がダークサイド堕ちした理由が弱い。怪物の陰惨さと絶望感が半端ないので、これに対比できるほどの悲惨がないと個人的に納得できん。
しかし細かいところは別にいっかーとなるほどに怪物の存在感が圧倒的で素晴らしいので、小説としてかなり成功していると思う(えらそう)。

これNHKでドラマ化決定してるのね。うーんアニメの方がよくないか?と思ったけど、あとがき読んで特撮に期待。

「冷血」上下 高村薫

久しぶりの高村さん。まず思ったのは、あれ?何か読みやすい、だった。いや昔も読みにくいことはなかったのだが、さらに文章が整理され、なんというか滑舌がよくなったというか…テンポがよくなったのか?それともストーリーテリング能力がパワーアップ?いずれにしろ端正な文章を心ゆくまで堪能できた。
前半は被害者の家族が「その日」までにどのような日常を過していたかを丹念に綴り、事件後は徹底して加害者側および警察の視点から語る。本家の「冷血」は読んでいないが、カポーティを描いた映画を観て大体の内容は把握していたので、組み立てや展開はおそらく本家のやり方を踏襲しているのだろうなあと想像。
おなじみの合田刑事がすべてにおいて精緻なせいか、とにかく犯人二人の雑さが際立つ。生き方も考え方も、行動も言動も、殺し方も逃げ方もすべてが雑。一人は元々の気質、もう一人は親の抑圧によって壊れた結果、そのある意味シンプルな気質に引っ張られ同化した感じ。読むこちらの方も、被害者側の遺族の感情がほとんどかかれていないせいか、奇妙に現実感がない。相当酷い話のはずなのに怒りがわいてこない。そういう自分への戸惑いと疑問。終盤、唯一出てきた遺族の一人が言った言葉は、そのまま犯人たちの心持ちに繋がる。「殺すのが正しい手順のような…とにかく早く始末しなきゃと」。被害者とも加害者とも全く関係のない第三者が決める「死刑」というのは案外この二人のやったことに近いのかもしれないと思わされた。死刑反対派に与する高村さんらしい結論だ。

「古事記 不思議な1300年史」 斎藤英喜
「日本古代の氏族と国家」 直木孝次郎
「入門白山信仰~白山比咩の謎に迫る~」 内海邦彦
「秦氏の研究」 大和岩雄

資料本として上記四冊を図書館で借りて読んだ。どれも面白かったが、古事記というものがかつてねつ造疑惑により資料としての価値を貶められていたこと、さらに今では、「時代とともに変遷する」ことそのものに価値を見出されているということ、非常に興味深かった。とすると、現代に見立てて語り直せば何年か後には…と思ったが、既にプロ・アマを問わない二次創作の山だわ。日本ってホントにもう・・・。
白山信仰と秦氏、これはあまりに面白すぎて、ついうっかり白山神社の記念誌とか続・秦氏の研究とか買ってしまった。こういう分厚くてお高い本こそ電子書籍にしてほしいのだが、大体ないんだな。希望は出しといたけど。
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