2017年1月5日木曜日

十一月・十二月に読んだ本

2017年、あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
以下、ネタバレあり注意。

「ミスター・メルセデス」上下 スティーブン・キング

発売して間もなく購入したにも関わらず、ここまで放置してしまったのは、読み出すとあっという間=時間泥棒と化すのがわかりきっていたため。案の定、一気読み。
さてキング初!のミステリー長編。盗んだメルセデスで行列に突っ込み何人もひき殺した挙句逃げ切った凶悪犯と、彼を追う元刑事の攻防。登場人物一人一人の性格やその背景をきっちりと描くのはいつものことだが、いつもより導入部がコンパクトかつわかりやすい。組み立てがより洗練されている感。さすが年の功か?と思ったが、三部作の一作目ときいてさらに納得。この作品じたいが壮大な前ふりだ。
幽霊や化け物の類は出てこないが、犯人の男の家庭がある日突然不幸に見舞われ、さらに不運な事故も重なってさらなる困窮と凄惨に陥るさまは完全にホラー。親が子を自分の罪の共犯者に仕立てるという話は以前も書いていたが、例によって碌なことにならない。崩壊寸前だった家庭はその罪によりいったん持ち直すが、その実止めの一撃となった。結局人は、やらかしたことからは逃れられないのだ。
次回作も楽しみ。

「聖(さとし)の青春」大崎善生

夭逝した棋士・村山聖の話。壮絶、の一言に尽きる。
幼少の頃にネフローゼを患い、何度も入退院を繰り返す中で将棋に出会い一気にのめりこんでいく。その類まれなる集中力と覚悟で、めきめきと頭角を現していくも、大事な場面で病に阻まれる。じっと寝ている以外何もできない間は、わざと少し開けた蛇口から落ちる水音を聞く。その音が聞こえている間は、まだ自分は生きていると確認できるからだ。死と隣り合わせどころか一心同体ともいうべき位置にいて、いつ破れるかわからない極薄の皮一枚で隔てられているだけの状況にありながら、彼は決して諦めない。くよくよしたり躊躇したりする時間が惜しい、絶望する暇があったら動けるうちに動け、楽しめる時は最大限に楽しめ、他人の思惑は関係ない。ただ自分のやりたいことだけをやれ。前に進め。
最初は死が怖いから、その恐怖から逃れるために将棋を始めたのだろう。だが晩年には、ただ逃げるのではなく将棋を以て真正面から死に立ち向かい、最後の最後まで抵抗し、戦い、生き切った。そこには安い涙や浅い同情は必要ない。ただただ、村山聖という棋士の生き方、存在そのものに最大限の賛辞と尊敬を捧げたい。
 
漫画「三月のライオン」が好きでよく読んでいるが、この作者も必ずや村山のことはよく知っているだろう。二階堂の人物設定、羽海野さんのひとかたならぬ思いがうかがえる。いい本を読んだと思う。映画も観たいがすぐ終わっちゃいそうだなあ。
 
「玉依姫」阿部智里
 
八咫烏シリーズ第五作。次女とともに瞬間的に読了。これまでの作品とは一転、実世界の話となるが、細部までいろいろきちんと整っていて、よく練られているなあと感心しきり。特に山の神に関するあたり、好きなジャンルなので丁寧な描写が嬉しい。
しかし最初から感じてはいたが、やはり十二国記とよく似ているかな?あれっこの子麒麟?とか一瞬思ってしまった(笑)。ハリーポッターシリーズといい、異世界もの・ファンタジーものは現実世界との折り合い方によってオリジナリティが出ると思うので、今後にさらなる期待。
 
 
 

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