11月に読んだ本
半沢直樹の大ヒットで一躍有名になったシリーズ第二作。これ書かれたのって2010年なのね。第一作と同じくこちらも「バブル組」の匂いが色濃く出ていて、あの時代を知るものとしては懐かしいやら痛いやら。半沢妻が、美人で家事完璧で優しく夫を立てるドラマ版の妻と対極にあるような女性なのに何となくうまくいってる感がリアルで面白い。まあしかしドラマにあのタイトルつけた人偉い。中高生は言葉自体知らなかったりするからなあ。
1と2を続けて読んでからちょっと間が空いてしまったが、すんなり入れた。というか、3は最初からフルスロットルの急展開で、細かいことは気にせずどんどん読み進められた。対照的な二人の女性キャラの使い方はすごくうまくて、特にいけ好かない系の方の女性の効果?が素晴らしい。厨二病的なタイトルも皮肉がきいていて、読後感もスッキリ。素直に面白かった。
ただジウの生い立ち?にからむおどろおどろしさが3にはほとんどなかったことがちょっとだけ残念。修羅場に陥った歌舞伎町の描写はもうすこしエグくてもよかったかも。
さて上の2つとはうってかわってハードなこの一冊。実に663ページの一大ノンフィクションだが、章立てが細かく整理されているので、案外読み進めやすい。とあるブログで「良書」として紹介されていたので読んでみたがまさにその通りだった。
全てを鵜呑みにするわけではないが、日本という国の我慢強さ・粘り強さにはただただ驚嘆するしかない。外交下手というよりは、物事をいい方に考えすぎというか、一言でいうと「甘い」のだろうが、何度も騙されいいように利用され、少なからぬ自国民を殺されながらもなお、公正・誠実に対応しようとするその精神的な強さに周囲の国は恐れを感じたのかもしれない。ここまで執拗に、よってたかって日本をハブにし貶め追い詰めていく行為の裏には、人種差別の問題はもちろん(現にドイツやソ連への対応は違う)、これまでの欧米中心の世界とはまったく異質の、えたいのしれないものとしての恐怖心があったように思う。以前読んだ宮部みゆきの「名もなき毒」のように、正しいもの・正しくあろうとする態度そのものが、最悪の毒を産み出す触媒になることもありうる。どうしても日本が「行き過ぎた軍国主義」で「他国を侵略する陰謀を以て」戦ったということにしておかないと、精神的に持たない人たち(国)が沢山いたんだろうなあ。それにしても共産主義怖い。戦時中にこれほど警戒されていたのに、戦後に理想国家とか革命とかって憧れて学生運動してたとかもう頭おかしいとしか…まあいいことばっかり喧伝して、マスコミも煽って、ホントの実態なんか一般人には全然入ってこなかったんだろうけど。
【怖いエピソード】
コミンテルンのメンバーの一人、オランダ人のマーリンが孫文に問うた。
「何のために革命を行うのか?」
孫文即座に答えた、
「人を愛するが故に」。
これに対しマーリン、
「人類のために革命をするというのでは、革命は永遠に成功することはできない。我々は人を恨むが故に革命を行うのだ」
こういう思想を持つようになる背景には、それこそ長く虐げられてきた恨みつらみはあるのだろうとは思うし同情はするが、それにしても臆面もなくこういうことを言い放って恥じるところなしというのは、到底理解できないし、こういう人間と表面上でも仲良くするというのは無理な気がする。とにかく、四面楚歌の中奮闘努力、死力を尽くして国を守り抜いた先人に感謝。そしてマスコミやっぱ最低。
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