おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

9月に読んだ本

2013年9月25日  2023年9月13日 
戦前生まれの父からは、「日本は元々、中国とは仲が良かった」という話をよく聞く。正直半信半疑だったが、このところ戦中の本を何冊か読む機会があり、考えをあらためつつある。ただ、相当に複雑な国ではあるので、そういう側面もある(あった)のだろうというくらいの認識に留まってはいる。歴史的にも距離的にも近い国ではあるので理解する努力はしないとね。

 
「この命、義に捧ぐ」門田隆将
まず驚いたのが「内蒙古『奇跡の脱出』」。根本博海軍中将は、終戦後の武装解除を拒否し、戦犯にするとの脅しにも引かず、祖国に引き揚げる在留邦人を守りぬいた。これまで、中国大陸からの引揚げは満州を筆頭にとにかく悲惨だったという印象しかなく、このように司令官の判断ひとつで明暗を分けていたという認識はなかった。負けた相手に勝った側がどう出るか、武器を捨てた時にその現場で何が起こるか。知り抜いた上での「自分がすべての責任を負う」という言葉は重い。
さらに受けた恩義を忘れず、命を賭して台湾の危機を救う。しかもその事実は長年極秘中の極秘、日本人はおろか助けられた側の国の人間ですらほとんど知らない。それだけでも十分にカッコイイのだが、釣り竿を担いで日本に帰国しマスコミに囲まれても、報道する側の意図を看破し、利用しつつ見事煙に巻く、その知性と胆力と器の大きさにはシビれる。それに較べてマスコミの、嫉妬心の絡んだ嫌ったらしさ、狡さ、卑劣さ、カッコ悪いことこの上ない。戦前も戦後もそして今も、一番こういう大人物から遠いのがマスコミというものなんだろうなあ。

 
「チャーズ 中国建国の残火」遠藤 誉
対してこちらはやはり義に従い尽くしきった「一般人」の話。中国で製薬会社を経営し暮らしていた一家の壮絶な脱出行だが、こちらの方は家族を守り切ったのではなくむしろ犠牲にして自分の信念を貫き通した感が強く、なんとも言えない気持ちになる。
しかしその愚直なほどの「信念」に基づいた言動により奇跡のような救いの手がさしのべられ、著者は心身ともに大きなトラウマを負いつつも生き残り、このような本を書いて世に訴えることが出来ているので、何が正しくて何が間違っているのかは本当にわからない。
真の「悲惨」を直接に引き起こすのは国とか最高権力者ではなく、現場にいる極めて狭く小さい単位での「権力を持つ個人」とそれに唯々諾々と従い阿る個人、だと思う。洗脳の話も怖かった。自分が攻撃されないように自分以外を槍玉にあげる…中世の魔女狩りしかり、日本赤軍のリンチ事件しかり。今の平和な日本でさえ、このような図式は至る所に存在する。小さな集団でも常に外界に通じる門は開けておくようにしないと、出口のない狭く閉じた空間には「悲惨」がすぐに忍び寄る。
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