2013年9月11日水曜日

8月に読んだ本

長かったそして暑かった夏もようやく終わり、朝晩は一気に秋の気配。心機一転頑張らなきゃだな。えっと例によってネタバレ注意。

「俺たちバブル入行組」池井戸潤

言うまでもないがドラマの「半沢直樹」とは別物。池井戸さんの文章は、あまり読書が好きではない息子にも読みやすくわかりやすいらしい。さっくり読める。無駄なくきちんと整理された掛け値なしに面白い作品を、ドラマではヴィジュアルを最大限に活かしテンポよく畳み掛ける。どっちもどっちで面白いが、強いていえばドラマ側に「バブル」な時代の雰囲気がないかな。まあなくても全然困らないけど。


「青の炎」貴志祐介

この方の小説は初めて。家族を苦しめる男を排除するため完全犯罪をもくろむ高校生の話だが、なんというかのっけからいろいろと甘い。結果はネタバレになるので書かないが、「ドロレス・クレイボーン」「1922」など比較すると男性の「殺す理由」は、今ひとつ煮え切らないというか、腹を括りきれていないような。優しい日本の若者の、その「甘さ」「弱さ」「中途半端さ」を意図して書いたとすれば相当秀逸な出来と思う。


「プリンセストヨトミ」万城目学

こちらも初めて。映画化もされていたので気にはなっていたが読み損ねたものの一つ。主人公?の男の子の性癖をはじめ登場人物の言動に今ひとつ共感できなかったためか、この世界に最後まで乗れず。大阪が独立国?!という映画の宣伝から、勝手に井上ひさしの「吉里吉里人」のようなイメージを抱いていたが、全然違った。なんというか、大阪国についてもう少し突っ込んでほしかった。でないと「プリンセス」、完全に脇役じゃん。守る理由がよくわからないというか、守りきれてないわけだし。


「ばらばら死体の夜」桜庭一樹

こちらは安定の桜庭さん。登場人物それぞれの視点からの語りは、桐野夏生さんの「グロテスク」などの作品、多重債務の話は宮部みゆきさんの「火車」を思わせるが、こちらは社会的にというのではなくあくまで個人的な資質、生まれや育ちといったところに視点を置きつつ、より突き放した感で書いている。まあ、そういう「素人がハマりやすい制度」があったにせよ、全員が全員引っかかるわけではないからなあ。

最初、バラバラにされた・・・のは男性側とばかり思っていたので意外だった。もともと事情上「バラバラ」だった女を本当にバラバラにしただけ、とまるで「自然の理」かのようにとらえていて、殺すときも一切ためらいがなく、罪の意識もほとんどない男の内面が薄ら寒い。だが前述の「青の炎」の男子高校生よりいっそはっきりしていて潔いとも言える。推理小説やミステリーなんかだと完全犯罪は難しいことになってるが、昔、無人の山や野や川での殺人が容易に露見しなかったように、多くの人が周囲にいても目を向けない(向かない)、何もかもが調和をなくし「ばらばら」になった場で行われた殺人は認識されづらいのかもしれない。

0 件のコメント:

コメントを投稿