2013年8月9日金曜日

6、7月に読んだ本

この場所もどうしようかなあと思いつつ、記録の意味で書いとく。フィクションの世界も、現代社会で生きていく上ではけっこう必要なのかもしれないと思う今日このごろ。


「死神の精度」伊坂幸太郎

この人はやっぱりうまい。設定は荒唐無稽なのに、細やかで慎重に考えぬかれた文章なので気持ちよくすっと入ってくる。ストーリーは定番で安心して読めるけれども決して陳腐に逃げることなく、ちょこちょこ意外で、斬新な展開があって退屈しない。「死神」は非情な存在なのだが、過剰に思い入れることなく、かといって完全な傍観者というわけでもない、その距離感が絶妙。


「ジウ」誉田哲也

三部作のうち二作目まで読んだ。まったくタイプの違うヒロインが二人出てくるのだが、「女らしい」方はそこはかとなくやな感じ。というかはっきりと嫌いなタイプの女だ。しかしそれで片方の酷薄さが中和されるというか、魅力に思えて来てしまう。キャスティングの妙。
まだ完結編を読んでいないので物語の評価は出来ないが、ここまでほぼ一気読み。面白いです。


「竹林はるか遠く」ヨーコ・カワシマ・ワトキンス

太平洋戦争末期、半島から命からがら引き揚げてきた少女の自伝。翻訳物のせいもあるが語り口はいたってシンプル。だが内容はかなりハード。本当に、今の時代に生まれた幸運に感謝したくなる。こういう状況で妊娠出産、子供連れて逃げるとか、想像したくもない。
帰国するまでの辛酸はもちろんのことだが、日本に帰って来てからの生活が相当苦しい。同じ戦時中の国民なのに境遇の違いは著しく、温度差がかなりあることに驚かされた。戦争中は皆お国のために一致団結・頑張って耐え抜いたなんていうのは後付けの幻想だとよくわかる。ある意味、日本全国異常に熱狂していたわけではないということの証左でもある。よくぞ出版してくれた。

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