10月に読んだ本
奥田英朗さんの作品は、実はまたまた新聞連載でちょこっと読んだのが初めて。しかも後半のみ。けっこう面白かったので、読んでみた。してみると新聞小説って、本を売るには意外に有効な手なのね。まあ、この先も紙の新聞が売れ続ければ、の話だが。
これといって目立つ産業もなく観光資源もない、平凡な地方都市の中での話。大都会というわけでもないが、かといってのどかな田舎というわけでもない、これ以上発展するあてもほとんどない、閉塞した感じがよく描かれている。複数の登場人物の、げんなりするような日常がさらに悪い方向に動いていく様子、こちらもげんなりしながら目を離せない。他人の不幸は蜜の味、なんだかんだ言いつつこれを最後まで読み終えてしまったアンタが一番最悪だよ!と作者に高笑いされてる気分だ。ちょっと悔しい。
この本のラスト数ページは美容院で読んだ。担当の若いお姉さんに「イン・ザ・プール」も良かったですよと勧められた。また読んでしまうかもしれないじゃないか。くそう。
こちらも初。長女に前から勧められていた。奴は三作目くらいまで読んでいるらしい。
割と正統的な娯楽サスペンス。テンポよく読み進められ読後もスッキリ。しかしスッキリしすぎ!と思ってしまうのは奥田さんの毒がまだ残っているからか。「ストロベリーナイト」に取り憑かれてしまう理由がちょっと、個人的には弱いかなーと思った。あまり書きすぎるとネタバレになるのでこれ以上は言わない。でも面白かったので今度また次を読んでみようと思う。
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