2012年9月19日水曜日

9月に読んだ本

夏休み終わってさあ!と思ったら息子マイコプラズマで倒れ、体育祭はおろか連休を棒に振る。マイコプラズマは耐性菌も出来てて高熱出るわ咳はひどいわで意外に大変。流行中とのことで皆様もお気をつけ遊ばしませ。

で。
いつもの山崎さん…と言いたいところだが、正直二巻目から最後まで歯切れが悪いままだった。山崎さんが身を置いていた新聞ジャーナリズムの世界、表から裏までよく知った世界を書いたはずなのに「不毛地帯」や「沈まぬ太陽」のときのような、大組織の悪徳や矛盾をバッサバッサと斬っていく思い切りの良さが、今回は見当たらない。さすがの女傑も、身内を斬ることには迷いが出たのか。

なんというか、ヒーローがいないのがつまらない。大概主人公は家庭をあまり顧みない仕事人間なのだが、真剣に・実直に自分のやるべきことに向き合っているがゆえの話だし、一方で家族に深く感謝もし済まなくも思っている。だからこそ家族も彼を支える。大胆でハイリスクな決断や行動の裏には、そういう自他の細やかな心遣いがあるのだ。だから脇役でも光る。

今回は残念ながら、登場人物の誰ひとりとして好きになれない。ようは「空気読まずイケイケでやりたいことやってた傲慢な新聞記者が、国益に関する情報に手を出してお灸をすえられた」ってことなんで、正直同情の余地無し。例の密約については、近年ついにその存在が明らかになった!て現与党の大臣がドヤ顔で言ってたけど、騒いでたのは一部マスコミだけ、一般国民としてはそれがどーしたんですか?て感じ。沖縄返還のための交渉カードのひとつってだけでしょ。交渉の内容をいちいち明らかにできるわけない。今まさに合意がまとまるかどうかのさなかに「国家が隠蔽してる!知る権利の侵害だキー!」とやり玉にあげようとしたらそりゃちょっと待てコラ、てなるよ。
んで解雇されて自棄になり家族を見捨てて実家の家業も放り投げ、末路が沖縄でプロ市民ですか・・・もうなんというかダメダメじゃん。山崎さん、いつも主人公に惚れ込んでる様子がよくわかるのに、今回は全然それがなかった。やっぱダメ男はきっぱりさっぱり切り捨てなきゃあかんですよ。つか、次回作やるなら、特に新聞じゃなくてもいいけどマスコミ関係を斬ってほしいです。最近とみに酷すぎなんで。



うってかわってこちらは、細やかな心遣い満載の、英国古き良き時代の一作。
オースティンのお話は「プライドと偏見」しか読んだことないのだけれど、それがめっぽう面白かったのでいつか全作制覇したいと思っている。こちらは晩年近くに書かれたものだけど予想以上に良かった。
何が良いって、主人公の女性がすっごい真面目で常識的で、かといって堅苦しすぎるということもなく、バランス感覚にあふれた魅力的な人物であること。小説の主人公で、しかも女性でこれだけ真面目で真っ当な人は少ないのではないんだろうか。身近にいたら是非ともお友達になりたい人だ。
さらに好感が持てるのは、出てくる人たちが多少の欠点はあるものの、全員品がよく振る舞いに節度があること。翻訳もののせいもあるけど言葉遣いもちょっと古くさいが美しい。

お話としてはよくある感じ。
「経済力がない・社会的地位が低いという理由で家族に反対されて結婚を諦めた恋人が、すっかり出世しお金持ちになっていた。ふとしたきっかけでまた顔を合わせることになった二人。お互い独身で何も障害はないが、過去のいろいろで簡単にことはすすまない。お互い素直になれないうちに双方に別々の縁談が・・・」
ぱーっと恋に落ちて、というわかりやすい情熱ではないが、長年あたためた思いが少しずつ熟して、周囲の思惑や何かをかいくぐり、そっと表にあらわれてくるさまは中々にワクワクする。これ原文てどんな感じなのかな。そちらもちょっと読んでみたいかも。

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