9月に読んだ本 その二
読みました!
抄録を読んだ時の感動を裏切らないどころか大幅に増幅していただき、大変満足いたしました。はい、素直に面白かったです。ジェットコースターさながらに次から次へと事件が起こって目を放せない、というのとは違いますが、今よりほんのすこし昔の日本の日々を、これほど丁寧に、しかし入り過ぎることなく、ゆったりと語られるのもたまらなく心地良い。長い話ではないのだが、読み終わるのがもったいなくてゆっくり何日かに分けて読んだほどだ。(ちなみに私はかなり読むの速い。このくらいのページ数なら数時間で余裕)
「直木賞」がどのような基準で選ばれているのか、はっきりとは知らないが、あまり読者を選ばない感じのとっつきやすい作品が多いのではなかろうか。「とっつきやすい」とはいっても決して凡庸ではなく、おもねってもいない、何と言うか…ほんのすこし昔の日本人なら普通に持っていたと思われる繊細な距離感が、見事に再現されていると思う。篠田節子さんに続きファンになること決定♪
何でも平等平等っていうのも、あまり面白くないよなあ。
で、ここで唐突にこれ。
2003年のファンタジーノベル大賞を受賞した作品で、気になってはいたのだが何となく読む機会がなく、気づけば結構なベテランに。伊坂さん以来、「デビュー作」というものに非常に関心が出てきたので借りてみた。
こ、これは(笑)。理系の、しかも関西系の大学生(男)の日常と頭の中をこれほどセキララに描写した作品は今まであったろうか。あるのかもしれないが私は知らない。
ストーリーはあるようなないような。しいていえば彼らにとっては「太陽の塔」にハマる女の子そのものが「ファンタジー」なのかしらん、いやむしろコヤツらの頭の中そのものがファンタジー。イケメンは誰一人、徹頭徹尾、完膚なきまでに出てこないが、会ってみたいと思わせ・・・いやそれは言い過ぎ。物陰から垣間見たい感じの男たちである。
対してこちらはかなりスペクタクルなお話。何しろ舞台がチベットで敵役が中国!だだ、大丈夫ですか篠田さん・・・と設定からして心配してしまうのだが、あとがきを読むと、どうも登場人物たちが移動した同じルートを自らも踏破しているらしい。なんとワイルドでカッコいいお方であろう。しかもこの話、ハリウッド映画のような派手さもあり、実にコミカルでもある。けっこう金箔いや緊迫したシーンでも何かほのぼのしているというか、癒される。篠田さんはきりりとした感じの作品ばかりかと思っていたらこういうエンタメ全開のも書いていたのね。ああますますファンに。
詳しくはあえて書かないが、日本でしか、日本人しか書けないネタであることに間違いはないと思われる。映画には・・・・ちと無理かもなあ(笑)。
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