「世界が生まれた朝に」
盆休みも終わり、やっとやっと色々書けるようになったー。ふー。このまま暑さもどんどん和らいでほしい。
「世界が生まれた朝に」エマニュエル・ドンガラ 訳:高野秀行(1996)
高野秀行さんの本で紹介されてた、という理由で読みたくなって図書館で借りた。本はもう絶版なのかな。新品では売ってないみたい(というわけで画像なし)。してみると図書館に入れておくのって大事だわ。
ガルシア・マルケスの「百年の孤独」アフリカ版、という触れ込みだが実は私マルケスは「エレンディラ」と「予告された殺人の記録」の二冊しか読んでない。映画は両方観た。内容は殆ど忘れてるけど画面もストーリーもかなり独特で面白かったことだけ覚えてる。そうそう、「エレンディラ」の方は映画のあらすじを友人に話したらラストシーンのくだりで爆笑されたっけ。お蔭でそこは記憶残ってる。ここには書かないけど(笑)。
というわけで本家本元との比較は出来ないが、簡単に言うと「主人公が生まれてから死ぬまでをその国(地域)の変遷に重ね合わせて描いていく」形。主人公は「一人の人間」であると同時に「その時代を生きた無数の人」でもある。アフリカ大陸の国々(民族?)がかつて持っていた自然との共生力、被った数々の苦難、差別、栄光と挫折と再起、等々最初から最後まで「アフリカ」テンコ盛りの壮大な大河ドラマといった趣。アフリカというワード、地域に抱いていたイメージが相当変わる。そして作者の教養の深さ、知性の輝きに打たれる。作中で「知」について語る場面があるんだけど、そこらへんは日本のものづくり気質、職人の知と似たものを感じる。遠く離れた、気候も風土も人種も違う国であってもなぜかその神話の筋立てや展開には共通するところが多く見られる現象と同じく、すぐれた物語には全世界に通じる普遍性が備わるのかもしれない。ただこれ、現地の言葉で現地の人が読めばなお一層響くんだろうな。きっと高野さんは本気で惚れこんで翻訳したんだと思う。妬ましいぞ。
とりあえずマルケスの「百年の孤独」も読んでみなければと思いました。つか、今売れてるならこれも出版再開したらええのに。

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