おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

「1984」「シン・エヴァンゲリオン」「福井怪談」「ひとつむぎの手」

2021年10月3日  2023年9月12日 

 読書の秋到来!てことで、溜めてたやつ一気にいくでー。

「1984」ジョージ・オーウェル(1949) 【訳】田内志文(2021)

 いわずとしれた古典SFの金字塔と呼ばれる名作。何を隠そう、実はちゃんと読んでいなかった!(そういうの多い!)映画は観た気がするけど気のせいかもしれない、というくらい記憶の彼方。しかもこれ、大学生の子が買ってきて、読めとばかりに積ん読の一番上に置かれてしまったやつだったという。

 で、それが真夏だったので暑くて無理で、結構な時間をかけて昨日読みおわったわけですが、やっぱりすごかった!何だこれ!1949年に書いたとかマジか!全然古くないし、何なら今まで読んだいわゆるディストピア物SF、殆どここからじゃない?というか、これを読んでしまうと影響されずにはおられないし、素で何かを突き詰めて考えたら、同じような結果に落ち着きそう。それほどに普遍的な問題を多く含んで、繊細に濃密に深堀りしてる。さして厚くもない、文庫本一冊に収まる作品なのに。

 コロナ禍でよく見かける陰謀論者、全員この「1984」読め!とも思ってしまうが、この内容だと逆に私たちの主張は合ってた!デカイ悪の親玉がいるはず!ってなっちゃう可能性もなきにしもあらずな危険もはらんでる。オブライエンの詭弁と、主人公ウィンストンの危うさ(最初から)が理解できないと厳しい。結局はバランス感覚なのか。

 子と意見が一致したのが「一番洗脳されてなくて自由なのはジュリア」ということ。女性だからというのではなく、単に個人的な資質と生きるスタンスの問題。あの世界だとウィンストンタイプが多いのか、ジュリアタイプが多いのかどっちなんだろう。



「シン・エヴァンゲリオン劇場版」庵野秀明(2021)

やっと、やっと観た!

こちらも言わずと知れた超人気ロボットアニメ(だよね?)の完結編。質の高いレビューが星の数ほど出ているので、「シン・ゴジラ」をきっかけにやっとシリーズ全部観た私ごときニワカが語ることは殆どなかろう。

まあどなたかも仰っていたとは思うが

「ゲンドウがひたすらにキモイ!」

「シンジくんが大人になった!」

この二言に尽きる。さらに陳腐な言い方をすれば、まごうかたなき「愛」の物語でもある。本当にキレイな着地だった。そして本当に「さらば、全てのエヴァンゲリオン。」だったわー。

いやーこれも映画館で観たかったな。二時間半なんてあっという間だった。コロナの馬鹿。




「福井怪談」三石メガネ(2021)

 ツイッターで見かけて、元福井県人としては買わねばなるまいと思い応援買い。しかし、この手のローカル怪談ってたくさん出てるのね。「新耳袋」みたいなショートの聞き書き形式って、日本人の心に嵌るんだろうなあ。読みやすい文章で、一気読みしちゃいました。大概の怖い話に慣れ切っている私でも、ゴンボダネはけっこう怖かった。あれ、もっと長編のフィクションとして書いてみてはどうだろうか。

 よく知ってる地名がバンバン出て来るので地元民には楽しい。ただ「あそこにはまだ違う話が」とか思っちゃったりもする。伝承話とか民話も結構恐いので、それも集めるといいかもなあ。続編待ってます。

 といいつつ、ここでこっそり書くけど「おさ子の耳嚢」でもたまに「あ、これ書けない」ってことがあるんですよ。基本、場所はぼやかすしフェイクもりもりだし創作してる部分も多々あるけど、それでも書けない話がある。それは多分今の自分が無理して書かない方がいい話なんで、暫し心にしまっとくが吉だと思われます。時期が来たらきっと書けるんでしょう、うん。




「ひとつむぎの手」知念実希人(2021)

 ツイッターで大変お世話になっているお医者さまアカウントの一人知念さん、本屋でサイン入り文庫本を見つけたので買っちゃいました(サイン本に弱い)。

 医師自らが虚実織り交ぜた小説を書くというスタイルはもう定着した感がありますが、共通しているのが文章の読みやすさ。仕事柄、描写や構成もお手の物、専門用語を素人に説明する際のわかりやすい言い換えや言い回しの調整等常々やっておられるのだし、当然かもしれない。知念さんの作品はこれが初だけど、その中でも相当読みやすい部類だと思う。ほぼ一気読みでした。

 私は全然ゲームをやったことないが、なんとなくキャラ建てと筋立てがロールプレイングゲームっぽい気もした。主人公の異動先が外科医としての花道か・へき地での一般医師か、というところから始まって、三人の研修医を全員その科に入れらればボーナスステージ、クリアできるか否か?というところに、およそ病院で起こりそうな様々な事件や出来事をあれこれ投入してみました、みたいな。何より登場人物が皆濃ゆくて直情的。さすがに現場でこんな人ばっかりだとキツイだろと心配になるレベル(笑)だけど、ゴンゴンぶつかり合った挙句いつのまにか調和して、収まるところにスカッと収まるエンタテイメントでした。あとタイトルがとても良い。最後にいわれがわかるけどその話も良い。面白かった。 

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