「グリーンブック」
Green Book Peter Farrelly(2018米)
特に意識したわけじゃないけど、このところ観た映画がことごとく、かつて存在した差別や抑圧に関した話。2019年のアカデミー賞を取ったこちらも例外ではなかった。しかもまたロードムービーであり、実話に基づいている。
【60字梗概】
1960年代の米国で黒人ピアニストと彼に雇われたイタリア男が南部に演奏旅行、様々な差別に遭遇し対処する中でお互いを理解し友人となる。
運転手のトニーはちょうど「運び屋」のアールおじいちゃんと同じ世代。苛烈な差別主義者では全くなくむしろ気のいい男だが、時折悪気なく差別的な言動をしてしまう。妻は気づいて苦々しく思っているものの、どうにも出来ずにいる。
黒人の中では成功者のドクは、それ故に仕事仲間以外の友人が皆無、家族とも疎遠で居場所がない。あえて差別感情の強い南部でのツアーを敢行するも、気概だけでは戦えない現実に直面する。
接点のない者同士が、普段の生活から離れた未知の世界で交流するという王道パターンではあるが、一つ一つのエピソードが印象的で味わい深く、観ていて飽きない。アメリカがこの50年で良きにつけ悪しきにつけ失ったものを拾い集め、生い立ちも立場も生活環境も違う者同士の相互理解の実現、というゴールに向けて描いた良作。
出来過ぎなラストだけど、ほっこりする。世の中捨てたもんじゃないのねと思える。
にほんブログ村
コメント
コメントを投稿