庭の池の向かいに、大きな四角い石が三つ並んで立っている。一つには桜の紋がついており「顕彰」の文字も見える。後の文字は不明瞭で読めない。
何の石なのか、どう扱えばいいのか誰にもわからない。業者に問い合わせるといって父が電話するが、
「目が見えないから説明できない、替わってくれ」
と携帯を渡される。隣にいる母が、
「丁寧にね、粗相のないように」
と釘をさす。
電話の相手は女性だった。お電話替わりました、いつもお世話になってます等と定型の挨拶をし、石の外観の説明を簡単にしてから、
「あの石は何のための石でどのようないわれがあるのか、どう扱えばいいのか」
と質問した。女性が
「特に意味はない。あなた方はどうされたいのですか?」
と言ってきたので、一旦会話を止めて通話口を手で押さえながら父母に聞いた。
「そのまま置いておいても支障がないのならば、そのままでよい」
というのでその旨伝える。
大きな水音がした。驚いて見てみると、兄がカラフルに色付けされた何かのオブジェを次々に池に投げ込んでいる。これが魔除けになるのだという。とりあえずあの石を投げ込んだのではないと知って皆ほっとする。
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