おさ子です。のんびりまったり生きましょう。

エンド・ロール

2010年12月28日  2011年1月7日 
俺のせいじゃない。 何度も、何度もそう言い聞かせてきた。俺には何の責任もないと。知らなかったから仕方ないと。すべてはあの女が悪いのだと。   マスクを通した息が白く凍って、薄汚れた革のコートにまとわりつく。  気温は午後から徐々に下がり始め、日が落ちた今は刺すようにつめたい空気が満ちている。冷気が衣服のわずかな隙間から入り込み、皮膚の柔らかい部分を容赦なく貫く。  喉の奥からは相変わらず嫌な音がする。が、ゆっくり休めるような場所は見当たらない。さっき入った店では、即座につまみ出された。大きなファッションビルの中なら、閉店まではいけるかもと思っていたが、…

12月に観た映画 その二

2010年12月27日  2023年9月12日 
「フローズン・リバー」コートニー・ハント Frozen River   Courtney Hunt(2008米) タイトルそのままの、身も心も凍るような寒さ。暖かい家の中で観ているのに本当に寒かった。「ガラスの仮面」の「二人の王女」で、姫川亜弓扮するオリゲルドが観客に感じさせた寒さ、を思い出した(ふざけていない。大真面目)。 寒さ=貧しさ、であるのだろうなあと実感。 ここでも強いのは例によって母である。単純に母親、というよりは「母性」というべきか。男でも女でも、守るべきものを持つ者は強い。 冒頭、シミと皺だらけの疲れた中年女の顔がアップで映される。その張り…

12月に観た映画

2010年12月21日  2023年9月11日 
超忙しくてブログ更新する暇もないわーと言いつつ、子どもにせがまれて映画を観に行ってしまった。次女を後ろに乗っけて、二駅先のシネコンまで自転車かっとばしたもののさすがに帰りの坂道は降りて歩いた。次女は身長の割には軽いのだが、それでももう無理無理むりむりかたつむり(←懐かしい)。来年は自転車買ってやらねば。 で何を観たかというと・・・ 「劇場版BLEACH 地獄篇」阿部記之(2010) ・・・えーと・・・これはいわゆる腐女子御用達というのかしらん。いやむしろそれはNARUTOの方か? 個人的に、ストーリーはNARUTOより面白かったように思うが、戦闘シーンが…

帚木 (八)

2010年12月3日  2022年6月8日 
さて、長かった夜が明けるとともに雨もあがり快晴。 さすがにこもりっきりも体裁が悪くなってきたヒカル王子、久々に正妻の家(左大臣家)を訪問する。 妻の葵さんは、相変わらず高ビーな態度で全然打ち解けてくれない。 仕方ないから若いメイドさんたち(女房)をからかいつつその辺でゴロゴロしていると、舅がいそいそとやってくる。 社長(帝)の息子である自慢の婿ぎみ、あまりざっくばらんには出来ないし、その上娘とはなんとなくうまくいってないっぽいし、粗相があってはならん・・・・・・と余計なところまで気を遣いまくる舅。 くつろいだ格好のヒカルを人目にさらすまいと衝立を置き…

11月に読んだ本 その一

2010年11月22日  2023年9月13日 
忙しい日々がもうすぐ終わる。てなわけで篠田節子さん二連発♪ 「ロズウェルなんか知らない」篠田節子 あああ、これ面白かった。まずタイトルがイケてる。まったく物語の中に出てこないけど、 ロズウェル というのが何で有名なのか知っている人間はニヤリとしてしまう。 登場人物は非常に多いのだが、ひとりひとりのキャラが立っていてわかりやすく楽しい。誰ひとり、善悪に偏り過ぎていないところもまたいい。 この丁寧で生真面目な文体でこのユーモア感覚。ますます惚れ込んでしまった。 私は作家で読むことが多いので、これでまた読む予定の本が増えることが嬉しい。 というわけでデビュー作いっ…

10月に読んだ本 その二

2010年11月4日  2023年9月13日 
あああもう11月になってしまった。 忘れないうちに。 「イトウの恋」中島京子 中島さんの本を読むのはこれで三冊目。彼女の書く話に共通しているのは、身近にある謎を、ほんのすこしずつ解いていくうちに、いつのまにか思ってもみなかった大きな物語の流れの中にいる・・・という仕掛け。 大きな物語といっても、この世に存在する無数の物語のうちのたった一つに過ぎないのだけど、それを丹念に拾い上げ、磨き、積み上げていく、その過程に並々ならぬ愛を感じる。 ものを書くことが好きでたまらない、と何かの記事の中で言っていた中島さん。 遠い異国から来た美しく賢い女性に抱くイトウの恋心…

便乗企画♪ きまぐれロボット

2010年11月1日  2010年11月1日 
「あなた、これはどういうことかしら?」  妻は眉を片方上げながら私の顔を睨みつけた。その拍子に、使っていたシャープペンシルの芯がぽきっと折れた。急いでノックしたが、芯は出てこない。 「どういうことって、そこに書いてあるとおり」 「書いてあるとおりのことなんか聞いてませんよ。これは本当に必要で、本当に無駄がない仕事なの?!」  だから今説明しようとしてるのに。私はうんざりしながら、芯のなくなったシャーペンを持ったまま、机の上にばらまかれたA4のコピー用紙をまとめて妻に差し出した。顧客とやりとりしたメールをプリントアウトしたものだ。 「それはもう見たわよ。…

「帚木」 (七) ~雨夜の品定め 最終話~

2010年10月26日  2022年6月8日 
雨夜の品定め、恋バナのトリを飾るのは意外や、右近兄・藤田係長(式部丞)でありました。 この面子の中では身分的にも男子力的にも一番下っ端。 「藤田係長、今までダンマリなアンタこそなんかあるんじゃないの?ちょこっと言ってみなよ」 と皆はやしたて煽る。 「自分っすか? いやいやいや……自分みたいな底辺ブサ男に、お聞かせするようなイイ話なんかあるわけないっすよ。勘弁してくださいっす」 と言うのを、頭の中将は穏やかながらびしっと「いいから早く」と責める。 藤田・右近兄は慌てて、困ったっすねえと頭を振りながら、ようよう話し出した。 「まだ学生だった頃っすかね…

10月に読んだ本 その一

2010年10月25日  2023年9月13日 
図書館で大量に借りてきた本の数々。涼しくなったので読書もはかどるというもの。けっこう忙しい日々なのだがそういうときに限って読みたくなるのだ。 「流星ワゴン」重松清 不慮の死を遂げた親子が乗るワゴン車に、生きていたくなくなった人たちが吸い寄せられる。ターニングポイントはどこにあったかをそこで見せられるのだが、いちど決まった未来は簡単には変えられない・・・・・ 変則なタイムスリップもの?未来が基本的には変えられないというのは宮部みゆきの「蒲生邸事件」と同じ。「バックトゥザフューチャー」のように都合よく何もかも解決はしないところが哀しいが、そこは重松さんなので…

10月に観た映画 その三

2010年10月22日  2023年9月12日 
「シャーロック・ホームズ」ガイ・リッチー Sherlock Holmes Guy Ritchie(2009) ホームズ役のロバート・ダウニーJr.が観ているうちに阿部寛に見えてきて笑えた。真面目な顔で突拍子も無い行動に出るあたりが「トリック」の教授に重なるのかも。 さらに、鳥打帽被ってない、身なりを構わずうだつのあがらなさそうなこのホームズは金田一耕助を思わせる。もしかしてもしかしなくても、横溝氏は狙ってたか?まあ、フケは落としてないけど。 ストーリーは「ダ・ヴィンチ・コード」とオウムの事件をまぜくった感じだろうか。オカルトにだまされるな、大抵のことは科…

箒木(六) ~雨夜の品定め~

2010年10月21日  2022年6月8日 
さて、お次の語り手はイケメン・モテ男、 頭の中将 。 家柄こそヒカル王子には及ばないが、容姿端麗・頭脳明晰・センスも良くお洒落で女性にも人気、今をときめく左大臣家の総領息子として生まれ何の苦労も屈折も知らずに育った真正のお坊ちゃまくんである。 「 馬鹿な男の話をしよう 」 と、超のつくナルシーな言葉も似合ってしまう美しい横顔。 「 内緒で見初めた女の子がいてね。(当然)向こうもまんざらでもなく、つきあうことになった。 最初は(カルーイ浮気のつもりで)きっと長続きしないだろうな~と思ってたんだけど、つきあう内にああ超可愛いなぁこの子、合間合間に会ってるだけなの…

10月に観た映画 その二

2010年10月19日  2023年9月11日 
最近観たい映画がなくて・・・というか劇場に観に行く暇が微妙にない。専業主婦なのになぜだー。 というわけで、レンタルDVD。 「沈まぬ太陽」若松節朗監督(2009) 長い映画。公開時は休憩時間まであったほど。しかし原作の長さ、重厚さから考えるとこれでも足りないくらい。特に後半はバタついて、原作読んでないと何のことやらわけわかめ状態になるかも。特に渡辺謙演じる主人公の敵役である行天(三浦友和)の腹黒さがいまひとつだったのが残念。キャスティングは間違っていないと思うが、いかんせん時間が短すぎた。 だが御巣鷹山のあの事故、無数の白い棺が並ぶ体育館内の光景、墜落前…

閑話休題(一)

2010年10月18日  2022年6月8日 
「雨夜の品定め」もいよいよ終盤ですが、ちょっと休憩♪ しまして、源氏物語に対して私が思っていることもろもろを書きつけておきます。 はりめぐらされた門の中、きわめて狭い世界で生きている貴族達。 宮廷づとめは結構ハードだったらしいし(夜勤あり)、 恋愛がなかなか思うようにいかないところも、 子どもが親の思う通りには育たないってことも、 優雅に見える暮らしが「外の人たち」によって支えられていることも、 今の都市生活者と非常によく似ている。 違うところはといえば、「 観念 」みたいなものがはっきりと生きていたということかも。 目に見えるリアルより、目には見え…

箒木(五)~雨夜の品定め~

2010年10月14日  2022年6月8日 
左馬課長代理の、かなり自己チューな恋愛譚はおかまいなしに続く。 「先ほどの『浮気相手』の女のことなんですがね。 これが人品卑しからず、気配りもバッチリ、和歌を詠ませても、文字を書かせても、琴を弾かせても、けっこうな腕前でして。ルックスもそこそこよかったもんですからかなり入れ込んで、再々会っておりました。もちろん元カノには内緒で。 元カノが亡くなってからは、どうしようかな、悪いかなとは思いつつ、それでも死んじゃったもんは仕方ないですからね、自然デートの回数も増えていったんですが……慣れてくると、それまで魅力だった派手で色っぽいところなんかが、何か裏があ…

箒木(四) ~雨夜の品定め~

2010年10月12日  2022年6月8日 
遠い目をして語り始める左馬課長代理。 「まだほんのぺーぺーのヒラ社員だった頃、つきあっていた女性がおりましてね。いえいえ決して美人では。当時はまだ結婚まで考えてなかったですから、若気の至りでついつい他に目移りも、ねっ?」 わかるでしょ、いひひと周囲に同意を求める左馬。完全にオヤジである。 「ところが浮気がバレたときの、彼女の嫉妬がすごいのなんのって……。 ほとほとやんなっちゃいましてね、もうちょっとおっとり構えられないもんかなあと。 とにかく疑り深いしシメツケは厳しいし、たまらなかったですね。 反面、こんな男に愛想もつかさず、一途に愛してくれているの…

10月に見た映画 その一

2010年10月11日  2023年9月11日 
ひっさびさにレンタルDVD。しかも新作。つまりミーハー。 「シャッター・アイランド」マーティン・スコセッシ監督 えーとこれはネタバレになると全然駄目なのでいろいろ書くことは控える。控えるがしかし、なんというかいろいろ思い出したなー。雰囲気まんまツイン・ピークス。シャイニングもちと入ってるかも。とにかく監督がスコセッシなので、一筋縄ではいかないぞオーラがむんむんと立ち込めていて、目が離せない。家で観てたのにトイレに立てなかった(泣)。 ちなみに私、れお様はまったくタイプではない。世間ではイケメン俳優ということになっているが、今までただの一度もそう思ったこと…

「帚木」 その三

2010年10月6日  2022年6月8日 
男性たちによる 雨夜の品定め はいまだ続いておりますが、 なんとなくこの辺の会話はOL二人のほうがしっくり来るのでは?と思いましたので、現役平安ガール右近ちゃんと侍従ちゃんに、割り込んでいただくことにします。 今後も突然乱入アリ ってことで、ひとつよろしくお願いいたします(ぺこり)。 「ねえねえ、右近ちゃん」 「なあに侍従ちゃん」 「ぶっちゃけ、 結婚って考えたことある? 」 「いきなしストレートにきたわね。何を聞きたいわけ」 「いやあ、恋愛と結婚って、何か別じゃないかなーなんて最近思ってて」 「侍従ちゃんたら(クス)」  当然じゃないの、というよう…

オフィスにて(二)

2010年10月5日  2022年6月8日 
右近兄の武勇伝の前に、ちょっと時を進めてみる。 さて、 平安OLから見た「上・中・下」の品とは! 「おっはよ♪侍従ちゃん」 「おはよう、右近ちゃん。やっと雨上がったねえ」 「ほーんと。長かったよねえ」 「ほんとよねえ」  しばらく縫い物などする二人。 「ねえ右近ちゃん」 「なあに侍従ちゃん」 「この間、右近ちゃんのお兄さん、ヒカル王子と一緒に宿直(とのい)だったって言ってたよね。どうだったって?」 「あーーーー、そうねー・・・何だか無駄にテンション高くってさ、帰ったらその話ばっかし。いいかげんウザかったよもー」 「ででで、どういう話した…

箒木(二)

2010年10月3日  2022年6月8日 
さらに二人恋多き男が加わり、いやがうえにも盛り上がる宿直室(桐壺の局) 。 女性の品格の「上中下」というのはどこで区切られるのか? というヒカルの問いに答え、頭の中将アツく語る。 「家柄がイマイチなのに何かの拍子に成り上がっちゃった、 にわかセレブ ?とか、その逆に家柄はいいけど、コネ無し・生活力ゼロ、その癖やたらタカビーな 元セレブ ?なんてのもありがちだよね。両方とも、差し引きゼロの『中』ってとこかな?」 ふんふん、と聴衆。 「地方のノンキャリア(受領)組にもなかなかどうして、イマドキは結構いい人材がいるんだけど、だいたいはそんじょそこらの中堅キャリア(上達…

箒木(一)

2010年9月30日  2022年6月8日 
「ねえねえ、 ヒカルの君 って、跡取り(東宮)さんより全然イケてなーい?」 一介の社員(公達)として会社(宮内)で働くヒカル源氏。 とはいえ、彼が社長(帝)の息子であることは周知の事実、そもそも最初から、平社員ではないそこそこの地位を与えられていた。加えて結構デキル男でもあったため出世もとんとん拍子。 なんといっても有力役員の双璧の片割れ(左大臣)の娘婿であるし、目の覚めるようなイケメンで何をやらせても人並み以上、注目度はいやがうえにも高まる。男女ともに彼の関心を得ようと集まる面々はひきもきらない。 だがそれは逆に、 ヘタなことはできない 、ということでも…

オフィスにて(一)

2010年9月28日  2022年6月8日 
「おはよう、右近ちゃん」 「おはよう侍従ちゃん。毎日雨でやんなっちゃうねー」 「ほんと。洗濯物も乾かないしー。これで物忌でもなきゃ、とっとと宿下がりして着替え持ってくるとこなんだけどー」  社長(帝)の着物にアイロン(熨斗)をかけながらしばし無言の二人。 「ねえ右近ちゃん」 「なあに侍従ちゃん」 「前まえから誰かに聞こうと思ってたんだけどさ。ほら聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥っていうでしょ」 「だから、何」 「ぶっちゃけ、物忌って何?」 「はぁ?アンタここに来て二年でしょ。平安OLとしてそれ、どーよ?」 「や、あのね、大体は知ってんの…

「桐壺」背景その二

2010年9月27日  2022年6月8日 
さて、愛されすぎたペーペー新人OL(桐壺の更衣)は亡くなり、その息子は跡継ぎ候補からは外され、正妻とその父およびやんごとなき関係の方々はほっと胸をなでおろしたのだが、社長(帝)はいっこうに彼女を忘れられない。 そんな社長の耳に、亡き恋人に生き写しという娘の噂が耳に入る。もしかしてそれは娘の父の策略だったのかもしれないが、社長は一も二もなく彼女を入社(入内)させる。 彼女の入った部署(部屋)の名は「 藤壺 」 。 光る君の源氏と並び、輝く日の宮、と呼ばれた「藤壺の女御」の誕生である。 今度は「ぺーぺーOL」どころか、家柄も身分も文句のつけようがない。なんとい…

「ひかるのきみ」復活♪ 「桐壺」の背景

2010年9月26日  2022年6月8日 
以前、もうひとつのブログで不定期に連載?していた、大雑把な源氏物語訳、を復活させてみる。 しばらくは元記事を手直ししつつ再録、その後はぼちぼちと更新予定。 まずは源氏物語に対する勝手な持論。 源氏物語は、あらゆる少女漫画の大元である。 身分違いの悲恋によって生まれた、容姿端麗・頭脳明晰・運動能力にも長けた、非の打ち所のない主人公が繰り広げる恋の数々・・・ 相手は 人妻 であったり、 誰とも知れぬ 街の女 であったり、 セレブで聡明な 未亡人 であったり、 亡き母にそっくりな 義母 であったり、 その義母にそっくりな 少女 であったり、 お局様 であったり、 落ちぶれた 深窓の令嬢

9月に読んだ本  その三

2010年9月22日  2023年9月13日 
この間、美容院に久々に行ったら、重くてかさばる女性雑誌は自然とかナチュラルとか(同じやんか)、相変わらずもてはやしてる感じだった。でもね、自然て何?ホントに自然て、そんなに素晴らしいのか? この間読んだ本は皆、読み終わるのが勿体無くてゆっくり読んでいたが、この二冊は怖すぎるのでなかなか読み進められなかった。 「羆嵐」(くまあらし)吉村 昭 ネットで見かけた北海道「 三毛別羆事件 」、あまりに衝撃的だったので、ドキュメンタリー小説化したこれを読んでみた。 昔、「 グリズリー 」という映画があったが、あんなのディズニー映画だね!と断言出来るほどこの事件は怖すぎる。「…

9月に読んだ本  その二

2010年9月14日  2023年9月13日 
「小さいおうち」中島京子 読みました! 抄録を読んだ時の感動を裏切らないどころか大幅に増幅していただき、大変満足いたしました。はい、素直に面白かったです。ジェットコースターさながらに次から次へと事件が起こって目を放せない、というのとは違いますが、今よりほんのすこし昔の日本の日々を、これほど丁寧に、しかし入り過ぎることなく、ゆったりと語られるのもたまらなく心地良い。長い話ではないのだが、読み終わるのがもったいなくてゆっくり何日かに分けて読んだほどだ。(ちなみに私はかなり読むの速い。このくらいのページ数なら数時間で余裕) 「直木賞」がどのような基準で選ばれて…

9月に読んだ本 その一

2010年9月6日  2023年9月13日 
「FUTON」中島京子 中島京子さんはついこの間、「 小さいおうち 」で直木賞をとられた方である。実は図書館で抄録を読んで、すっかりハマってしまい、某クレジットカードのポイントからゲットした密林ギフト券でうっかりクリックしてしまいました。あさってくらいに届くので、読んだらまたここに書きます。 「オール讀物」の抄録を読んだ、その同じ図書館で借りたのがこれ。何しろ語り口が柔らかく心地良く、それでいて結構シビアなので、もう読んでいるだけで幸せな気持ちになる。何かの講評にも書かれていたが、この方は書くことが好きで好きでたまらない、そういう感じがひしひしと伝わってく…

八月に読んだ本 その二

2010年9月3日  2023年9月13日 
やっと夏休みが終わった・・・でもまだ暑い。あまりの暑さに、 向こう の更新が精一杯でこっち放置してた。記録しとかないとどんどん溜まっちゃうので一気に。 「ジーンワルツ」 「ジェネラル・ルージュの伝説」 海堂 尊 海堂さん作品は「バチスタ」から好きでよく読んでいるのだが、以前雑誌で連載されていた「マドンナ・ヴェルデ」の、代理母として娘の子を産むことになる母親、という設定が衝撃で続きが気になっていた。 「ジーン・ワルツ」はその関連作。衝動買いした時はそれを知らず、読んでみてびっくり(遅。ホントにファンなのか)。映画化もされるらしく、主役は私の大好きなカンノちゃん。…

notice:

過去記事の改変は原則しない/やむを得ない場合は取り消し線付きで行う/画像リンク切れ対策でテキスト情報追加はあり/本や映画の画像はamazonまたは楽天の商品リンク、公式SNSアカウントからの引用等を使用。(2023/9/11-14に全記事変更)

このブログを検索

ここ一か月でまあまあ見てもらった記事